ジャッキー・チェン『酔拳』公開から45年…『少年ジャンプ』バトル漫画にも影響を与えた「酔拳使いキャラ」のエピソードの画像
2024年秋より展開される『ドラゴンボールDAIMA』 (C)バード・スタジオ/集英社・東映アニメーション

 今から45年前、1979年にジャッキー・チェンの映画『ドランクモンキー 酔拳』が日本でも公開されて以降、80年代に入っても子どもたちの間で「酔拳」はすっかりおなじみとなった。

 酒を飲んで酔えば酔うほど強くなるという「酔拳」。酔うことによって、相手からすれば予測不能の動きとなり、対応が難しくなってしまう。当時は学校で真似をする小学生も多く、『週刊少年ジャンプ』の漫画をはじめ、日本のキャラクターにも「酔拳使い」は珍しくなくなっていった。それだけジャッキーの映画のインパクトが大きかったということだろう。

 そこで今回は、酔拳を武術として取り入れたジャンプキャラを紹介したい。果たして酔拳は優れた武術なのか? 実戦に向いているのか? などにも注目していきたい。

■『ドラゴンボール』本編で一度だけ使われた酔拳

 最初は、鳥山明氏による『ドラゴンボール』(集英社)のジャッキー・チュンから紹介していこう。

 ジャッキー・チュンは名前から見ても、明らかにジャッキー・チェンのパロディだが、亀仙人は弟子である悟空とクリリンにバレないようにチュンなる人物に変装し天下一武道会に参戦した。

 試合では、そこまで激しい攻防はしていない。気功弾の応酬や舞空術なども取り入れていないので、純粋な武術での力比べのようなものだ。そんな中で、チュンが悟空との戦いで見せたのが「酔拳」だった。

 チュンは酒も飲まずに、酔ったフリをしながら悟空に攻撃を仕掛けると、あまりにも不規則な動きに悟空はついていけずまともに攻撃を何発も食らってしまう。結果的には悟空が突如思いついた「狂拳」での反撃により、チュンはシラフに戻り、これ以降本編で酔拳が使用されることはなかった。

 鳥山氏は大のカンフー映画好きで、資料集『ドラゴンボール超史集』(集英社)によると、映画『酔拳』については100回以上見たというハマりぶりだったとか。そして、その様子を見た担当編集者の鳥嶋和彦氏が鳥山氏にカンフー漫画の執筆を薦めたことで、『Dr.スランプ』連載中に『フレッシュジャンプ』1983年8月号と10月号に短編漫画『騎竜少年(ドラゴンボーイ)』を掲載。それが『ドラゴンボール』へ繋がったという経緯がある。

『ドラゴンボール』ではあくまでもネタのような感じで「酔拳」が使用されていたが、このシーンには鳥山氏のジャッキー映画へのリスペクトが詰まっているのだろう。

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