■敵なの?味方なの?エゥーゴ主力の後継機
最後に紹介するのは、1986年に放送された『機動戦士ガンダムZZ』に登場した「シュツルム・ディアス」。ネオ・ジオン軍のマシュマー・セロが指揮するエンドラIIに配属されたサトウの部隊が運用した。
前作『機動戦士Zガンダム』で登場したリック・ディアスの発展型で、大出力のグライバインダーを装着することで攻撃力と最高速度が強化された。その最高速度は、リック・ディアスの1.5〜2.5倍と言われている。
もともとはエゥーゴのエースパイロットであるクワトロ・バジーナの専用機として設計されていたが、紆余曲折を経て、エゥーゴの敵対組織であるネオ・ジオンに渡った。前作で味方機だったリック・ディアスに酷似した機体(本機、シュツルム・ディアス)が敵として登場するため、視聴者は混乱したという。
作中での活躍は第38話「鉄壁、ジャムル・フィン」。マシュマーの指揮に反発したサトウが、部隊を率いてシュツルム・ディアスで出撃、ZZとネェル・アーガマを追い詰めた。しかし、マシュマーと部下のイリア・パゾムは、「旧ジオン軍の思想を色濃く残すサトウはネオ・ジオンにとって障害になる」と判断し、戦闘中に暗殺した。
エゥーゴを代表するモビルスーツであるリック・ディアスのパワーアップ機が、ネェル・アーガマを襲撃するという皮肉な結果になってしまった。
今回紹介したようなモビルスーツは作中での活躍が乏しいため、いわゆる「マニアックなモビルスーツ」といえる。しかし、機体設定や背景がしっかりと作り込まれたモビルスーツは、むしろマニアックなほどおもしろい。特に、アニメを視聴したことがない人は、知らないモビルスーツも多いと思うので、一度視聴してみてはいかがだろうか。