1984年に『週刊少年ジャンプ』で連載開始された、まつもと泉さんによる漫画『きまぐれオレンジ☆ロード』はシリーズ累計発行部数は2000万部を越えている人気作品であり、現代まで続くジャンプラブコメの元祖のような作品だ。
2024年は同作の連載開始から40周年を迎える記念の年ということで、今回はヒロインの「鮎川まどか」と「檜山ひかる」をさまざまな視点から比較して、魅力を振り返りたいと思う。
■クールなまどかと明るいひかる、2人の性格の違い
まずは2人の性格を考えていく。姉妹の様に仲がいい2人ではあるが、その性格は正反対といえるものだった。
「鮎川まどか」は大人っぽい美人だが、不良として登場する。中学生だと言うのに学校内でタバコを吸い、飲酒描写も多い。そんなまどかは恭介から「丈夫な赤ちゃんが生めなくなる」といわれてタバコをやめ、徐々に初期の不良っぽさはなくなっていき、優しい表情を見せるようになる。更生した後は学業でもトップクラス、音楽的才能、スポーツ万能、家事もできる、と多方面に才能を発揮する。
「檜山ひかる」は恭介とまどかの2学年下で、非常に幼い印象の少女だ。まどかと仲がよく、2人で喫煙中に恭介と出会う。まどかと同じく、初期は不良っぽいところがあったが、更生した。
まどかがクール、ミステリアス、大人っぽい美人であるのに対してひかるは明るく、素直、子供っぽい可愛さがある少女、というキャラクターで読者がどちらが好きかで迷うのも納得だろう。
少し付け加えておくと、メインヒロインの中学生が2人揃って喫煙、飲酒するというのは現在の感覚からすると衝撃的だ。2人だけでなく未成年の飲酒シーンが作品を通して驚くほど多い。これがジャンプで連載していたのか、とジェネレーションギャップを感じることだろうが、そういう時代だったと思いながら読んでほしい。
■2人の主人公への態度は?
正反対な2人は主人公、恭介に惹かれているのは同じだが、態度、アプローチが全く違う。まどか、ひかると恭介へ惹かれたきっかけや態度を比較していこう。
まどかと恭介の出会いは、恭介が引っ越してきた初日に「100段階段」で出会い、まどかから赤い麦わら帽子をもらう。そして恭介との交流を通して恭介に惹かれていく。後に恭介がタイムリープして、まどか目線からすると小学6年生で出会っていた初恋の相手が恭介であることが判明する。恭介とまどかの運命的な絆を感じさせるエピソードだ。
ひかるはまどかと喫煙していたところで恭介と出会う。当初は好意を抱いていなかったが、恭介が超能力を使って、バスケのロングシュートを決めるのを見て惹かれていく。
まどかはひかるも恭介に惹かれているのに気付いているため、自分の気持ちを押し殺して、ひかるを応援しようと努めている。だが恭介と2人きりの時には好きだという気持ちが出てしまい、三角関係を形成してしまう。また嫉妬深いところがあり、恭介が他の女子といるところを見ると不機嫌になる。ツンデレの先駆け的な存在といえる。
対してひかるは非常に素直にアプローチをかけるタイプだ。恭介が好きだという気持ちを隠さない。恭介のことをダーリンと呼び、抱きつき、交換日記(死語だろうか?)をする。また、まどかが恭介に惹かれているのに全く気付いておらず、恋愛に対しても鈍感なところを見せる。