『りぼん』“伝説のギャグ漫画家・岡田あーみん”は令和の子どもにもウケるのか? 『お父さんは心配症』『こいつら100%伝説』を読んでもらった衝撃的な結果とはの画像
「特別展 りぼん」公式ビジュアル

 1983年に『りぼん』(集英社)でデビューし、“少女漫画界に咲くドクダミの花”と呼ばれた岡田あーみんさん。彼女が描いた『お父さんは心配症』をはじめとしたギャグ漫画は80〜90年代の少女漫画界のなかで異彩を放ち、“インパクトの強すぎる漫画”として話題だった。

 筆者も子どものころ、あーみんさんの漫画に魅了された1人であり、大人になった今でも読み返すたびに笑ってしまう。昭和の子どもたちには人気だった作品たちだが、はたして、今の令和の子どもたちが読んでも面白いと感じてくれるのだろうか?

 そこで今回は、近所に住む小学校6年生女児のあやちゃんに協力を依頼した。あーみんさんの代表作である『お父さんは心配症』と『こいつら100%伝説』を読んでもらったが、その結果は意外なものとなった。

■あーみん作品を小学生女児が読むのは難しい!? コマの進み方がわからないという衝撃…

 今回、あーみん作品を小学生に読んでもらうにあたり、まずは「読み方が分からない」という問題が起きた。

 あやちゃんに聞くと、実は今の小学生は漫画を読むことが少ないという。読むとしても縦読みのWeb漫画が中心であり、1コマが画面いっぱいに広がる描画に慣れている。しかしあーみんさんの漫画は1ページにつきコマが5〜6個あり、上から読んだあと左に行くのか、下に読み進んで行くのか、理解できないと言うのだ……。

 なんとか説明して読み進めてもらったのだが、今度は吹き出しのセリフが細かすぎて難航している。

 たとえば、『お父さんは心配症』では、主人公・光太郎が「血だって吐いちゃうもん 北野にこんなことできるかッ」といったセリフで読者を笑わせるシーンがある。しかし字が細かいうえ、“うおおおっ”とか“グサッ”といった擬音もたくさん登場するため、どう解釈したら良いのかがよく分からないそうなのだ……。

 残念ながら、本作を読んでいる間あやちゃんは一度も笑うことなく、細かい文字に四苦八苦している様子がうかがえた。

■『お父さんは心配症』より『こいつら100%伝説』のほうがウケた理由

 結局、あやちゃんに読んでもらった『お父さんは心配症』はウケることなく終わってしまった……。一応、本作の感想を聞いてみたところ、「なんか怖い」と一言。まず、お父さんが娘のボーイフレンドの北野を執拗に攻撃するのが分からないという。

 思えば昭和の時代は、“こんなやつに娘はやらん!”といった頑固おやじの描写がテレビをはじめ、あちこちで見られた。しかし今ではそのような父親は減っており、娘の彼氏が嫌いだから包丁で刺すといったギャグは通用しないのであろう。また、しょっちゅう口から血を吐く、頭を殴られて目が飛び出すといったギャグも日常では見ないため、若干、気持ちの悪い印象を受けたようだ。

 しかし、続いて読んでもらった『こいつら100%伝説』は、少し笑ってくれた。その理由を聞いたところ“『忍たま乱太郎』に似ているから”との意見が。

 NНKのEテレで見ていた『忍たま乱太郎』のおかげで、忍者の世界観をしっかり理解しているあやちゃん。とくに忍法の術をかけても失敗して自分に返ってくるといったギャグは面白かったようで、『お父さんは心配症』よりもサクサク読み進めてくれた。

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