■敗北で覚醒する新たな力!『幽☆遊☆白書』浦飯幽助
前述の『GANTZ』のように、主人公が冒頭でいきなり死ぬというシチュエーションは、過去の作品にもたびたび登場している。
代表的なのが、1990年から『週刊少年ジャンプ』にて連載された冨樫義博氏の『幽☆遊☆白書』だろう。
主人公・浦飯幽助は物語開始直後、車に轢かれそうになった少年を救ったことで代わりに死んでしまうのだが、自身が生き返るために数々の試練に身を投じていく。彼の死は霊界側からしても本来予定されていなかったものであり、条件つきとはいえ復活が許され、以降は“霊界探偵”として活躍していくこととなった。
数々の死闘を経てより強靭に成長していく幽助だったが、彼が追い詰められてしまったのが“魔界の扉編”に登場する仙水忍との一戦である。
“魔界の扉編”のラスボスである仙水は、相手の動きを読み切る“観察眼”、圧倒的な霊力を活用した様々な技によって、幽助を着実に追い詰めていく。結果、幽助は仙水の手によって心臓を貫かれて死亡してしまった。
絶望的な展開に見えたが、ここから幽助はまさかの復活を果たすことになる。なんと彼はこの“死”をきっかけに、魔族として覚醒。仙水をも上回る圧倒的な力を手にすることとなったのだ。
主人公のまさかの“死”と、そこから復活することによって新たな力に覚醒するという、少年漫画の醍醐味ともいうべき名シーンだ。
キャラクターの復活というだけでも読者にとっては驚くべき事態だが、そのキャラクターが再び死んでしまうシーンはなんともショッキングなものである。
漫画とはいえ、やはり一人の人間の“死”は、観る者の心を強く震わせるものなのだろう。