『ドラゴンボール』の名脇役といえばクリリンだが、彼は死から復活したかと思えば、フリーザに再度殺されてしまったことで読者を驚かせた。
今回はそんなクリリンと同様、さまざまな漫画に登場する衝撃的な“二度目の死”を体験したキャラクターたちについて見ていこう。
■死のその瞬間まで、“信じられる道”を歩いていたい… 『ジョジョの奇妙な冒険』ブローノ・ブチャラティ
1986年から『週刊少年ジャンプ』で連載が始まった荒木飛呂彦氏の『ジョジョの奇妙な冒険』は、今もなお掲載雑誌を変え、新たな物語が描かれ続けているロングセラー作品だ。
本シリーズの中で“二度目の死”を体験したキャラクターといえば、第5部に登場するブローノ・ブチャラティだろう。
ブチャラティはギャング組織「パッショーネ」に所属しており、一時は主人公・ジョルノの敵として登場するも、彼の“黄金のような夢”に賭けるため共闘すると決意する。
スタンド「スティッキィ・フィンガーズ」の力で数々の猛者を退けていくブチャラティだが、ついに対峙したパッショーネのボスとの戦いで、その圧倒的な実力差によって敗北して致命傷を負ってしまった。
この際に肉体は死亡したものの、すんでの所で駆けつけたジョルノのスタンド能力によって、ブチャラティは“生命エネルギー”を与えられ復活を果たす。しかし、これは死体が生命エネルギーを糧に動き続けている、いわゆる“ゾンビ”のような状態であった。
そんな彼だが、ボロボロになりながらもなんとか最終決戦の舞台であるローマにたどり着き、ボスであるディアボロとの再戦に臨む。
ボスの圧倒的な能力に多くの犠牲者が出るなか、ブチャラティは己の“命”を懸け、キーアイテムである“矢”をジョルノへと手渡すことに成功。しかし、この影響で彼の魂は完全に肉体を離れ、天へと昇っていってしまう。
壮絶な人生を送ったブチャラティだったが、それでも最後まで自身の“信じられる道”を歩けたことに満足して空へと消えていったのである。
その境遇からどこか2度目の“死”を予感しつつも、やはり最期の瞬間に胸を締めつけられた読者も多かったのではないだろうか。
■あまりにあっけなく奪い返された日常… 『GANTZ』玄野計
2000年に『週刊ヤングジャンプ』で連載開始された奥浩哉氏の『GANTZ』は、死んでしまった人々が強制的に召喚され、謎の“星人”を相手に死闘を繰り広げるSF作品だ。いわゆる“デスゲーム”の要素も含んでおり、登場人物がたった1話で殺されてしまうという描写も珍しくはない。
そんな本作の主人公・玄野計は、物語冒頭で電車にはねられて死んでしまうのだが、仲間たちとともに数々のミッションをクリアし、ついには戦いの日々から解放される。
平穏無事な毎日を取り戻したように見えた玄野だったが、突如現れた“吸血鬼”の集団に襲われ、再び戦いへと引きずり込まれることに。その後機転を利かせて敵を撃退していくも、最終的には“吸血鬼”の実力者・氷川に刀で斬殺されてしまう。
ようやく日常へと舞い戻ったのも束の間、“吸血鬼”という第三勢力の登場や、躊躇なく襲いかかってくる脅威の数々、そして主人公・玄野が再び殺されてしまった事実…… スピーディに突きつけられる“絶望”の数々は、まさに本作ならではといえるかもしれない。
この事件をきっかけに、物語の主人公ポジションを玄野の友人・加藤が引き継ぎ、最終的には見事、玄野を復活させることができた。
“死”がなかば当たり前になった世界観だが、それでも主人公の復活とあまりにもあっけない死は、読者をおおいに驚かせたことだろう。