■NARUTO最終話誌面でのエール交換…尾田栄一郎氏と岸本斉史氏
“第2次ジャンプ黄金期”を代表する『ONE PIECE』と『NARUTOーナルトー』。作者である尾田栄一郎氏と岸本斉史氏は互いに1974年度生まれで、デビュー時期も近いことから互いをライバルと認め合っている。
『NARUTOーナルトー』完結記念で開催された、NARUTO展の公式ガイドブック『道ーMICHIー』特別企画『岸本斉史×尾田栄一郎 “龍虎”頂上対談』のなかでは、そんなお二方が互いにリスペクトし合う様子がうかがえた。
連載中、“『ONE PIECE』とかぶらないように”と思っていたことを明かした岸本氏。たとえば、赤色のイメージの強いルフィに対し配色を変えて衝突を防いでいたり、冒険しながら一人ずつ仲間を増やしていくルフィに対して、ナルトはたくさんの仲間のいる里に毎回必ず帰る設定にするなど、実はかなり意識的にかぶらない作品作りがされていたという。
一方、尾田氏は拳を膨らませ相手を殴るルフィの技「ギガント・ピストル」を掲載する際に、「(チョウジの倍化の術と)ちょっとかぶるけど、ごめん」と、岸本氏へ連絡をしたという話も。
”バトルファンタジー能力もの”という同系統の漫画がジャンプの同時期に共存できたのは、このように互いをライバルと認め意識し尊重し合っていたからなのだろう。
そして『NARUTO』の最終話が掲載された2014年50号『週刊少年ジャンプ』では、誌面を使ってお互いのエールが交わされた。
掲載の『ONE PIECE』766話の扉絵では、ナルト行きつけのラーメン屋“一楽”のような場所で、ナルト(と思われる人物)とルフィが一緒に食事をしているシーンが描かれている。
そのほか、いつもの『ONE PIECE』のロゴの「O」の文字が木の葉のマークになっていたり、壁に貼られたお品書きの頭文字で「ナルトおつかれさんでした」と読めるようになっていたり、登場しているナミ、ルフィ、トニートニー・チョッパーの頭文字で「ナルト」となるなどの隠しメッセージも。個人的にはナルトが肉を、ルフィがラーメンを食べているのもオシャレに感じた。
一方、岸本先生は『NARUTO』の最終話で、火影になったナルトの石像の額に“麦わらの一味”の海賊マークの落書きを描き、ライバルであり友である尾田氏への感謝を表していた。
今回は豪華すぎるジャンプ漫画家同士の盟友関係を紹介してきた。いずれも互いに漫画家としての実力を認め、切磋琢磨する良きライバルであるとしている一方、『週刊少年ジャンプ』という常に人気がランキングされる厳しい場でしのぎを削った戦友であると認めていた。そこには、ジャンプの人気漫画家同士だからこそ分かり合えるものがあるのであろう。