「拳王」の異名を持ち、圧倒的な強さと恐怖で世の中を支配していた漫画『北斗の拳』のラオウ。筋骨隆々な肉体に強面という印象が強いが、199X年の荒廃した世界を描く『北斗の拳』の世界において、作中随一のお洒落キャラだったりもするのだ。
ラオウのファッションを語るうえで欠かせないもの、それはバラエティー豊かな「カブト」である。ラオウは、強敵との戦いをはじめポイントとなるシーンでいつも派手なカブトを被っていた。戦いの中で壊れることが多いためその都度変えていると推測できるが、新調するたびにデザインも変えるこだわりようだ。
初代アニメでは多くのカブトが総ゴールドになっているが、リメイク作品などでは黒やシルバーに変えられているものもあった。今回は、そんなラオウのカブトコレクションを振り返ってみようと思う。
■頭頂部のトゲトゲが印象的なカブトシリーズ
ラオウのカブトには基本的にどのカブトにも拳王軍の紋章がついており、おもに「トゲトゲ」「ツノ」「羽」の装飾が施されていた。さらに、それらを組み合わせて細かいディティールにこだわることで、圧倒的強者・ラオウの権力を示すオリジナルの一品が出来上がるのだ。さっそく「トゲトゲ」シリーズからみていこう。
まずは、ラオウがカサンドラで崇山通臂拳の使い手と対峙したシーン。ここではラオウの顔がはっきり描かれていないうえ、カブトも黒塗りされていて分かりにくいが、サイドから頭頂部にかけて複数のトゲトゲが付いているボリューム満点なものを被っていた。額には拳王軍の紋章があり、頬に当たる部分には羽のようなものが付いているように見える。
トゲトゲカブトでもっともインパクトが強かったのは、レイたちとの初対面時からトキとの死闘にかけて身に着けていた、頭頂部に複数のトゲ、頬の左右に闘牛のような巨大ツノ、頬あてと額の紋章の横に丸が描かれたデザインだろう。最初に挙げたカブトに似ているが、こちらはツノがあるだけで一層強者感が引き立てられている。
ラオウ自身もお気に入りなのか、登場回数は比較的多い。だが、死闘の最中にケンシロウの北斗七死騎兵斬によって片方の頬あてが破壊されてしまった。ちなみに、トキと戦う前に自らカブトを外す場面も描かれている。
ユダの回想シーンでは、同じ形態で頬あてに丸い模様がなく、紋章横の装飾が少ないバージョンのカブトも登場していた。
■ラオウと言ったらコレ!大きなツノとトサカシリーズ
次は、巨大な「ツノ」と「トサカ」シリーズをみていきたい。ラオウのカブトといえば、このデザインが浮かぶという人もいるはずだ。登場回数も多く、ラオウにもっとも似合っていたと思う。
まず、聖帝編で被っていたトサカカブト。3本の太いトサカに拳王軍の紋章、顔の横には立派なツノという勇ましさに満ちたデザインである。ツノはトゲトゲカブトと同じくらいの太さで、頬あてはシンプルな長方形に模様が彫ってあった。ファルコの村に行った際も似たようなカブトを被っていたが、トサカの数が4本になっていることから聖帝編とは別のカブトだと思われる。
3本トサカも魅力的だけれど、リュウガの待つ城に戻ってきてから南斗五車星との戦いにかけて被っていた4本トサカはさらに素晴らしい造形をしていた。ベースの形は似ているが、4本トサカは3本に比べて細長くなっており、頬あて部分が取っ手のような形をした小さなツノに変わっている。
紋章の横に付いている宝飾の数が減っていることもあったが、多分同じカブトだろう。南斗五車星との熾烈な戦いにも耐えたカブトだが、雲のジュウザの一撃で真っ二つに割れてしまった。ラオウはこの打撃でジュウザに心が戻ったことを察知し、黒王号から降りて本気で戦うようになる。
対フドウ戦では、さらに凝ったデザインで挑む。このときのカブトは、今までのものよりもやや長めのシルエットで、トサカもより長く鋭くなっていた。さらに、紋章の横と上部分の両サイドからは長いトゲが生えている。頬あてはこのトゲと繋がるようになっていて、顔の形に沿って切り目が入っていた。
頬あての形で小顔効果もUPし、カブトコレクションの中でも最もスタイリッシュなデザインだといえるだろう。ただ、死闘中いつの間にか外していることから、戦いにくいのかもしれない。