『ドラゴンボール』かめはめ波、『ダイの大冒険』メドローアも…バトル漫画に登場する“強力なのに実は撃破率が低かった必殺技”の画像
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 “必”ず“殺”す、と書いて「必殺技」だ。バトル漫画のキャラクターには、敵を圧倒する必殺技が欠かせない。主人公が必殺技で勝利するシーンはやっぱり痺れるし、「かめはめ波」や「アバンストラッシュ」のような印象的な技は子どもたちがこぞってマネをする魅力がある。

 バトル漫画の“キモ”ともいえる必殺技だが、実は名前に反して敵を倒しきれない“逆”必殺技が意外と多い。しかも名作といわれるタイトルにこそ潜んでいたりするのだ。

 そこで今回は、間違いなく強力でカッコいいのに撃破率はたいしたことがない必殺技を見てみよう。

■悟空の代名詞なのに…『ドラゴンボール』孫悟空の「かめはめ波」

 バトル漫画の金字塔『ドラゴンボール』(鳥山明氏)の主人公・孫悟空は数多くの必殺技を持つ。

 なかでもとくに有名な「かめはめ波」は、悟空の代名詞的な必殺技といっていいだろう。幼少期に亀仙人が放ったものを見よう見まねで使ったのを皮切りに、大人になっても悟空が頼りにし続ける大技だ。

 そんな悟空の「かめはめ波」だが、実は原作で強敵を倒したことがない。「かめはめ波」が決め手となったのは「ピッコロ大魔王編」でタンバリンを撃破したときぐらいで、それ以外の場面では倒しきれていないのだ。

 よく考えれば、たしかにピッコロもベジータもフリーザも「かめはめ波」以外の技で勝っている。セルはいわゆる「親子かめはめ波」で倒したが、あれは悟飯の力が大きいだろう。イメージでは強敵をバタバタ倒しているのに……。

 意外と撃破率が低い「かめはめ波」だが、名シーンはとても多い。「サイヤ人編」でのベジータの「ギャリック砲」と「かめはめ波」の激しいぶつかり合いはド迫力だったし、「フリーザ編」で「20倍界王拳」との合わせ技で放った「かめはめ波」もすさまじかった。

 倒せはしなくても強敵との戦いで多用される「かめはめ波」は、悟空の相棒とでも呼ぶべき技なのだ。

■強力なのも考えもの? 『ダイの大冒険』ポップの「メドローア」

 次は『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』(監修 :堀井雄二氏、原作:三条陸氏、作画:稲田浩司氏)から、魔法使い・ポップの最強呪文「メドローア」を見てみよう。メラ系呪文とヒャド系呪文をまったく同じ出力で融合させることで、あらゆる物質を消滅させる光の矢を撃ち出すこの呪文は、本作でも最強クラスの威力を誇る。

 コミックス25巻に掲載されている必殺技人気投票では「アバンストラッシュ」を押さえて堂々の1位を獲得しており、名実ともに『ダイの大冒険』を代表する必殺技だ。

 しかし一方で成績は良好とは言いにくい。ポップの切り札を知った魔王軍は、さまざまな手段で「メドローア封じ」を行うようになる。

 大魔王バーンは呪文を跳ね返す「マホカンタ」や「フェニックスウィング」を、ハドラー親衛騎団のシグマは呪文を反射する伝説の防具「シャハルの鏡」を……と、「メドローア」を当てたい強敵にこそ万全な対策をとられてしまったのだ。

 当たれば消滅するのだから、相手からすれば警戒するのは当たり前。「メドローア」は強すぎたのである。

 結局、「メドローア」が作中で倒したのはシグマだけとなった。これは余談だが、唯一「メドローア」が炸裂したポップVSシグマは個人的に本作のベストバウトに挙げたい名勝負だ。ぜひご一読いただきたい。

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