■奈落の対策が厄介すぎた『犬夜叉』弥勒の「風穴」

 高橋留美子氏が手掛ける戦国妖怪ファンタジー『犬夜叉』(小学館)に登場する女好きのイケメン法師・弥勒が持つ「風穴」も、能力の割には目立った活躍が少ない。

 弥勒が右手に宿す「風穴」は代々受け継がれてきた呪いであり、解放するとブラックホールのようにあらゆる物を吞みこみ消滅させる。どんなに強い妖怪だろうと吸いこめば倒せてしまう、一撃必殺の大技だ。

 最強のように思える「風穴」が、なぜ作中で活躍できなかったのか? それは弥勒が呪いを解くために追いかける宿敵、奈落に使えないからだ。

「風穴」には「毒を吸い込むと本人の体を蝕む」という欠点がある。たとえば、毒を持つ虫を吸うと弥勒の体が壊れてしまうのだ。奈落はこれを利用し、「風穴」が使われるたびに毒の蜂・最猛勝を放って難を逃れ続けた。

 弥勒が「風穴」を使おうとすると最猛勝がどこからともなく現れ、やむを得ず「風穴」を中断する……気づけばこの流れがお決まりとなってしまった。一番の宿敵にしか通用しない必殺技とは、なんとも皮肉な話である。

 

 必殺技なのに撃破率が低い“逆”必殺技を見てきた。こうして見ると有名な技が多く、出せば勝利する決め技であることと、読者の記憶に残るかは必ずしもイコールではないようだ。その必殺技を駆使するキャラクターがいかにカッコよく戦い、魅力的に見えるかこそが大事なのだろう。

 あなたが好きな必殺技は、はたして本当に“必殺”なのか? これを機に読み直すと、新しい発見があるかもしれない。

  1. 1
  2. 2
  3. 3