■「白ドラ」だけじゃない「ドラえもん」の隠れた名作RPG
キャラものや漫画原作のゲームはなかなか移植が実現しにくく、たとえば115万本を売り上げた「白ドラ」ことハドソン版『ドラえもん』もファミコンでしかプレイできないゲームだ。
ファミコン時代には『ドラえもん』からもう一つソフトが発売されており、今回は隠れた名作として1990年にエポック社から発売となった『ドラえもん ギガゾンビの逆襲』を振りかえりたい。同作はアニメ映画『大長編ドラえもん』シリーズを原作としたオーソドックスなRPGで、映画の登場人物が多数登場するアフターストーリー的作品。
魔法はひみつ道具、MPはどら焼きの数としてシステムに組み込まれている。キャラクターごとの手持ちで持ちきれないアイテムをしまう収納袋システムは、主にスーパーファミコン時代から常設されるようになったが、本作では四次元ポケットの機能として実装されている。他のRPGと比較しても、珍しいシステムを採用した作品と言えるのではないだろうか。
要所要所の会話では、キャラクターの顔が大写しになっているのも、原作ファンに嬉しい要素だ。
そんな『ドラえもん ギガゾンビの逆襲』だが、その後のハードに移植されておらず、現存しているのはファミコンソフトのみ。中古市場ではハドソン版『ドラえもん』よりもやや高値で取引されているが、買って損はない1本だろう。
■後の作品にも影響を与えたレトロホラーの金字塔
黒沢清さんが監督を務め、伊丹十三さんが製作総指揮を務めた1989年のホラー映画『スウィートホーム』。こちらも同年、カプコンよりファミコン用ソフトとしてゲーム化されており、その他のハードに移植されていないファミコンでしか遊べないタイトルのひとつだ。
画家・間宮一郎の作品が遺されているという無人の屋敷に乗り込んだテレビ取材班5人が、数々の怪奇現象に見舞われるというストーリーを描く。さまざまな謎をときながら屋敷からの脱出を試みるというホラーゲームで、ファミコンソフトでありながら、怖さや臨場感はすさまじい。
モンスターのドット絵の書き込みも凄く、アニメーションで動くモンスターもおり、当時としては最高峰のクオリティといって間違いない。サウンドも、ドアを開ける際の「キィ」という軋み音や、ムーディーなBGMとこちらも不気味さを盛り上げている。
表現方法が秀逸で、後の定番ホラーアクション『バイオハザード』シリーズをはじめ、様々なホラーゲームに影響を与えることとなったソフトであるものの、移植などはされておらずプレイできるのはファミコンのみ。こちらも様々な意味合いで伝説のタイトルだろう。
以上、今回は配信や移植がされていないファミコンソフトを4本紹介した。年末年始は、レトロ名作ゲームで、クラシックかつゴージャスな時を過ごしてみたいものだ。