■キメラ=アントに捕食されてしまう「クルトとレイナ」
最後に紹介するのは、『HUNTER×HUNTER』より、キメラ=アント編に登場する「クルト」と「レイナ」兄妹だ。
キメラ=アント編は、主人公のゴンが、ハンターを目指すきっかけとなったカイトと相棒のキルアとともに、奇妙な生物の調査をするところから始まるエピソード。その奇妙な生物こそがゴンたちが戦うことになるキメラ=アント。人間が住む大陸に上陸し、重傷を追っていたキメラ=アントの女王は、最初は魚や小動物を捕食していたが、徐々により栄養価が高く、大量の餌を求めるようになる。
そんなキメラ=アントと出会ってしまったのが、少年クルトと少女レイナだった。クルトは妹のレイナを守ろうと必死になるも、2人ともキメラ=アントに捕らえられ、女王に食されてしまう。
クルトとレイナがきっかけで、人間という栄養価が高い存在を知られ、以降人間が狙われることになってしまう。
キメラ=アントには、捕食された者が転生する場合があり、クルトは「コルト」というキメラ=アントに転生している。人間だった頃の記憶がかすかに残っていて、王メルエムの双子の妹をレイナと名付けて育てている。
レイナはシドレというキメラアントに転生。キメラ=アント討伐後、母親と再会するシーンは涙無しでは読み進められない。
大人キャラが残酷な目に遭うエピソードもトラウマものだが、子ども相手だとより一層の悲壮感がプラスされる。悲しき運命を背負わされた子どもたちだが、次の人生では、どうか平穏に、幸せに生きてほしいと願うばかりだ。