■アインとアスカの関係を“他人”と断定
次に、天帝編での人気者、アインに関するエピソードだ。娘のアスカを幸せにするために戦う姿や、アインの死に際して幼いアスカが「私が泣いたらパパ眠れない」と気丈にふるまう姿など、この父子のシーンは多くのファンの涙を誘ったことだろう。
原作では、アインとアスカの関係性についてはあくまで“父と娘”としか描かれていなかった。一方、アニメ第117話では、それをはっきり他人だと断定したエピソードが紹介されている。それによると、アインの命の恩人である女性が連れていた赤ん坊がアスカで、その女性が殺されたのち、アインが父として彼女を育ててきたのだった。
たしかに、実の娘を「オレの女」と呼んで溺愛しているよりは、血のつながらない女性の娘をまるで実の娘のように大事にしているというほうが、アインのキャラが立つ気はするが……このあたりは賛否両論ありそうだ。
■いつの間にか増えていた元斗皇拳の使い手
同じく天帝編で、原作では敵対する元斗皇拳の使い手がファルコとソリアのみだったのに対し、アニメではショウキも使い手であると明言され、さらにタイガとボルツという二人のオリジナルキャラが追加されている。
タイガは、帝都崩壊後にケンシロウとファルコを修羅の国におびき出すため、第122話でリンを連れて海を渡る。このことから、アニメでは登場しなかったジャコウの長男・ジャスクと同じ役どころだと考えられる。またボルツのほうは、第118話で死体袋に入って帝都から逃れようとするショウキを槍で刺し殺しており、同じくアニメ未登場だったジャコウの次男・シーノの代わりなのだろう。
これまで対戦してきた南斗聖拳の使い手はバラエティ豊かで各々キャラも立っていたことから、それに合わせて元斗皇拳も数を増やしたのかもしれない。それはそれで納得できなくはないが、タイガとボルツを元斗皇拳の使い手という設定でわざわざ登場させるなら、もう少し健闘してほしかった気もする……。
以上、原作どおりにしてほしかった『北斗の拳』アニオリシーンを紹介したが、そもそも媒体が違う漫画とアニメ、魅せ方が違うのも当然だろう。双方が引き立て合ってさらに昇華されれば、ファンにとっては嬉しい限りだ。