元関脇・寺尾の錣山親方が死去、ファミコンになるほど人気だった『寺尾のどすこい大相撲』の思い出を振り返るの画像
ファミリーコンピュータ『寺尾のどすこい大相撲』(編集部撮影)

 2023年12月17日、大相撲元関脇・寺尾の錣山親方が亡くなったことが伝えられました。現役当時の寺尾関は、相撲ファンならもちろんのこと、そうでない人でも名前を聞いたことがあるぐらい人気の力士のひとりでした。その人気ぶりはものすごく、1989年にファミリーコンピュータ用ソフトとして寺尾関の名前がついたゲーム『寺尾のどすこい大相撲』(ジャレコ)が発売されるほどでした。

■千代の富士、若貴兄弟と同じくゲームになるほどの人気力士だった寺尾関

 ファミコンで発売された相撲ソフトは4本。スーパーファミコンでも5本しかなく、両方合わせても実在する力士の名前が付いたソフトは『寺尾のどすこい大相撲』、『千代の富士の大銀杏』(フェイス)、『若貴大相撲 夢の兄弟対決』(イマジニア)のたった3本です。

 横綱・千代の富士や若乃花・貴乃花兄弟がゲームになるのは、強さの面からも納得のいくところだと思います。寺尾関は横綱からふたつ番付が下の関脇でした。それにも関わらずゲームになっているのは、寺尾関が当時それだけ人気の力士だったからこそでしょう。

『寺尾のどすこい大相撲』には3つのモードがあり、「昇進編」では平幕力士となって前頭13枚目から横綱を目指すというもの。キャラクターはオリジナル力士と“寺尾”のどちらかを選ぶことができ、”寺尾”を選ぶと使える技がひとつ多いうえ、他の力士よりも突っ張りの速度が速いという特徴がありました。現役時代、寺尾関の代名詞でもあった早い突っ張りをゲームで再現している、とちょっと感動したほどです。

 本作には本場所に勝つことで経験値が手に入り、それを使って新しい技を覚えるという育成要素もありました。勝ち続ければ綱が見える、というゲームではありますが、技を覚えるための経験値稼ぎが大変で、それに時間がかかりすぎるあまり横綱になれたか記憶がないほどだったりします。

■悪の土俵から優勝賜杯を取り戻せ!? 前代未聞の相撲RPG

「昇進編」以外に2P対戦ができる「対戦編」、そして盗まれた優勝賜杯を取り戻すために寺尾関が日本全国の”悪の土俵”を倒す「日本1周編」のふたつのモードがあります。

 日本1周編はいわゆるRPGで、バトルは当然のことながら相撲。昇進編と同様に相撲に勝って経験値を稼いで技を覚えたり、アイテムを使ったりして日本全国に5つある「悪の土俵」と戦うという画期的なものでした。そのためか昇進編よりも気合を入れて遊んだ覚えがありますが、イベントもなくボリュームも少なかったので、それほど時間がかからずに終わってしまったのが残念でした。ちなみにスタート地点が九州なのは、寺尾関の出身が鹿児島のだからかもしれません。

 本作が発売されたのは1989年11月24日。この年、千代の富士をはじめとする横綱相手に金星を獲得し、敢闘賞や殊勲賞、技能賞を獲得するというすさまじい活躍を見せた寺尾関。引退後は錣山親方として後進の指導にあたっていましたが、享年60歳という若すぎる訃報は、本当に残念でなりません。改めて錣山親方のご冥福をお祈りします。

  1. 1
  2. 2