PC向けゲーム『The Day Before』が、早期アクセス開始からわずか4日で開発中止となってしまったことが話題となった。
ポストアポカリプスMMOサバイバルとして期待され、心待ちにしていた人も多い本作であったが、早期アクセスが開始されると、実際はTPSに近いゲーム性で、クオリティもファンの望むものではなかった。そのため、STEAMレビューでは「圧倒的に不評」な評価となってしまった。結果、経済的に失敗したとされ、会社ごと閉鎖されることとなった。
開発者にとってもファンにとっても悲劇的な結末になってしまった出来事であったが、こうした「開発中止」のエピソードは過去にも少なからず存在する。ゲーム誌では発売が予定されているタイトルの一覧が掲載されているページがあるが、具体的な発売月から「発売予定」へと変更され、またいつの間にやらその予定すらなくなってしまったような作品もあった。
今回は制作決定のニュースから発売を首を長くして待ち続けたタイトルを振り返りたい。
■東京ゲームショウで発表されていた『グラディウス6』
2005年の東京ゲームショウで発表された『グラディウス6』だが、現在に至っても発売されていない。
東京ゲームショウで発表されたのはプレイステーション3用のゲームソフトということのみ。以降、新たな情報が出回ることが無く、グラフィックやゲーム性については、謎に包まれたままとなっている。
プレイステーション4の最盛期であり、プレイステーション5が発売済みの現在。当時の発表のままプレイステーション3用で発売されるということは考えづらく、とはいえ、そういったことも含めて情報が全く出ていないため、もう開発はされていないと考えるのが妥当だろう。
同シリーズのナンバリングタイトルは2004年にプレイステーション2用ソフトとして発売された『グラディウス5』が最新作となっている。歴代作品でおなじみの世界観はそのままに、グラフィックが大幅に進化しており、なかなかにグロい敵や演出も多い。またシューティングゲームとしては異例のクリア時間70分と、衝撃のボリュームも評価が高い一作。その続編がどうなるのか、いつの日か体験してみたいものである。
■ポリゴンのグラフィックも発表されていた『MOTHER3 豚王の最期』
糸井重里氏プロデュースによるRPG『MOTHER』の第3弾『MOTHER3』は2006年にゲームボーイアドバンス用ソフトとして発売されているが、もともとはNINTENDO64用ソフト『MOTHER3 豚王の最期』として開発が発表されており、紆余曲折あり発売されたタイトルだ。
それ以前に、まずは1994年にスーパーファミコン用ソフトとして開発開始された本作は、『MOTHER3 キマイラの森』というタイトルであった。しかし、その後NINTENDO64用のオプション機器であるディスクドライブ「64DD」向けに変更。タイトルも『MOTHER3 奇怪生物の森』に刷新された。これは1997年の出来事であった。
そして、その2年後に突如として『MOTHER3 豚王の最期』とタイトルが変更されることになり、発売予定日が2000年5月と発表された。
アドバンスの『MOTHER3』は前作までのグラフィックを継承したポップな絵柄だが、『豚王の最期』はポリゴンによるグラフィックを採用したもので、開発段階のものがゲーム誌などでも発表され、1999年に行われたイベント「任天堂スペースワールド'99」で試遊の機会が設けられた。しかし、『MOTHER3 豚王の最期』は予定されていた2000年5月に発売されることなく、同年の8月に開発中止が発表されたのだった。
この結果に『MOTHER3 豚王の最期』の発売を待っていたファンは悲しんだが、2006年に突如として発売日が発表。その発表と違えることなく、ゲームボーイアドバンス用ソフト『MOTHER3』が4月20日に発売された。
紆余曲折がありはしたものの、結果的に、ファン待望の『MOTHER3』が日の目を見たのだ。
とはいえ、前述の出来事から高まった期待感。64DDの容量でも足りなかったことから、内容が大幅に削除されたであろうと推測される要素。そして、グラフィックはかわいらしいものの、過去作のポップで明るい世界観とはまるで違う陰鬱な世界観と、当時のファンからは厳しい評価も上がった。
現在では評価は見直されている場合がほとんどだが、発売までの紆余曲折がファンの心に様々な思いを根付かせていたということもあるのだろう。とはいえ、どんな形であれ、発売中止ゲームの再稼働は喜ばしいことである。