『カバチタレ!』や『ショムニ』も…パワハラ・モラハラにも負けない! 90年代に登場した「働く女性」が主人公の漫画の実写化作品の画像
『カバチタレ!』 <完全版> 第1巻 [DVD](パイオニアLDC)

 昨今話題にのぼることも多い、“パワハラ”や“モラハラ”といった社会問題。そんな理不尽な扱いにも屈せず、“負けない女性像”を描いた作品から勇気をもらった人も少なくはないだろう。そこで今回は、90年代に人気を博した「働く女性」を主人公にした漫画の実写化作品たちをご紹介していこう。

■法律を武器に依頼人を守る姿が痛快!『カバチタレ!』

『カバチタレ!』(監修:青木雄二さん、原作:田島隆さん、作画:東風孝広さん)は、行政書士事務所を舞台に描かれた作品だ。

 主人公は法律とは無縁の会社に勤めていた青年・田村勝弘で、会社をクビになり退職金などの問題で途方に暮れていたときに行政書士の大野勇に助けてもらったことから、彼が営む事務所で働きはじめるストーリー。

 本作が実写ドラマ化されたのは、2001年のことだった。主人公は性別が変更されて常盤貴子さん(ドラマ版では田村希美)が、原作で田村がコンビを組んでいた栄田千春も女性に変更され、こちらは深津絵里さんがW主演で演じた。

 原作にアレンジが加えられたドラマ版は、職場からのセクハラや彼氏から騙されてトラブルに巻き込まれていた田村を行政書士の栄田が救ったことがきっかけで、一般人である田村が行政書士事務所のアルバイトとしてさまざまな案件に立ち向かっていくストーリーとなっている。

 バリバリのキャリアウーマンである栄田がかっこよくもどこか可愛らしく、そして苦労人ながらも純粋無垢でとことん前向きな田村とのコメディー要素のあるかけ合いも魅力的だった。また、一見相容れなさそうな二人が、だんだんと友情を深めていく様子も本作の見どころだ。

 この二人の“世の理不尽に屈しない”という芯の強い女性像は憧れの的となり、本作を見て行政書士だけでなく、弁護士や検事といった法律家になった読者も少なくなかったようだ。

 原作では暗めのエピソードも多かったが、ドラマ版は明るい雰囲気が印象的で、当時、元気づけられた視聴者も多いのではないだろうか。

 ちなみに2010年には『特上カバチ!!ーカバチタレ!2ー』も実写化された本作。キャストは櫻井翔さんと堀北真希さんで、二人の演じるキャラの“犬猿の仲”ぶりも面白い。ぜひ併せてチェックしてみていただきたい。

■かっこいいOLの生き様を描く!『ショムニ』

 安田弘之さん原作の『ショムニ』は、大手商社に勤めるOLのうち、“落ちこぼれ”だけが集められた「庶務二課(ショムニ)」を舞台に繰り広げられる群像劇だ。

 1998年に放送が開始された実写ドラマ版『ショムニ』では、江角マキコさんを主演にむかえ、宝生舞さんや戸田恵子さん、森本レオさんなど豪華なキャストが起用されている。放送開始するなり大きな反響を受け大人気ドラマとなった本作は、その人気から2013年までシリーズ作品として放送されたほどだった。

 江角さんが演じる坪井千夏のサバサバとして何者にも臆せず意見を通す女性像は、多くの女性の共感を得た。そして「ショムニ」に配属されている個性豊かなOLたちもまた、この作品には欠かせない存在だ。

 子どもの頃に本作にハマっていたというファンも多く、幅広い年代に愛される名作ドラマの一つだ。かくいう筆者も子どものころに本作を見ていた世代だが、作中に登場する千夏の名言の数々……大人になって働くようになったいま、見返してみるとグサリと刺さる。

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