特撮ドラマの悪役は、ヒーローやヒロインと同じくらい……もしくはそれ以上に魅力的だ。憎たらしいけど美しく、どこか心惹かれるような悪役がいるからこそ作品が盛り上がるものだろう。
そこで今回は、名女優が演じた特撮ドラマの美しすぎた悪役たちを紹介する。彼女たちの活躍とその特徴的な衣装にも注目したい。
■悪の女性リーダー『美少女戦士セーラームーン』杉本彩
2003年放送の特撮ドラマ『美少女戦士セーラームーン』。北川景子さんがセーラーマーズを演じていたことでも知られるこのドラマでは、悪の女性リーダーを杉本彩さんが演じている。
“エロスの伝道師”と称される杉本さん。個人的にはかつて『ウリナリ芸能人社交ダンス部』で、ナンチャンこと南原清隆さんとペアを組み見せた情熱的なダンスが懐かしく、大人の女性という印象だ。
本作でも、地球征服を狙う悪の組織“ダークキングダム”の女王クイン・ベリル役を情熱的に演じている。クイン・ベリルの特徴であるウェーブのかかった赤い髪と紫のドレス、そこにきらびやかな装飾品と杉本さん自身から醸し出される大人の色気が加わり、原作やアニメと変わらないほどにゴージャスでセクシーなクイン・ベリルとなっていた。
■キュートなくノ一『忍風戦隊ハリケンジャー』山本梓
2002年放送の『忍風戦隊ハリケンジャー』では、“あずあず”こと山本梓さんが女性敵幹部フラビージョを演じている。
実は、山本さんのフラビージョ役起用には彼女らしい可愛らしいエピソードがある。明るい笑顔とスレンダーなスタイルで、グラビアやバラエティ番組で活躍していた山本梓さん。そんな山本さんはもともとヒロインの戦隊役を狙っていたのだが、「動きやすい服装」で挑まなければいけないオーディションに、スカートにブーツという姿で参加してしまう。しかしその姿が関係者の印象に残り、見事悪役フラビージョ役に選ばれていたというのだ。
フラビージョ自身も少し抜けていてキュートな悪役だった。悪の組織“宇宙忍群ジャカンジャ”のくノ一幹部でありながら戦いもやる気があるのかないのか(?)そこまで強くなく、子どもっぽく無邪気な性格をしていた。
そして衣装も非常に可愛らしい。大きな蜂の頭のような被り物、そして、当時流行していたコギャルファッションを意識したものとなっており、とても似合っていた。
■憎めないキャラで愛された『炎神戦隊ゴーオンジャー』及川奈央
2008年放送の『炎神戦隊ゴーオンジャー』では、及川奈央さんが女性幹部ケガレシアを演じている。
及川さんは、福山雅治さん主演のNHK大河ドラマ『龍馬伝』などにも出演経験のある名女優だが、もともとは超人気のセクシー女優として知られていた。
及川さんが演じたケガレシアは、敵組織“蛮機族ガイアーク”の女性幹部だ。汚染された水をイメージした水管のような装飾とセクシーな胸元が特徴的で、非常に及川さんに似合っていた。それもそのはず、この衣装はキャスト決定前から及川さんをイメージしてデザインされていたもので、ある意味究極の特注衣装と言えるものだったのだ。
一人称の「妾(わらわ)」、語尾の「おじゃる」と、悪役でありながらチャーミングでどこか憎めないキャラが視聴者にも受け、物語終盤、組織に反旗を翻し粛清されてしまうケガレシアの最期は、視聴者から非常に惜しまれた。
ちなみに、放送10周年を記念したVシネマ『炎神戦隊ゴーオンジャー 10 YEARS GRANDPRIX』では、ファンから愛されたケガレシアも無事復活を果たし、正義の“ケガイエロー”に変身するなどなかなかの活躍を見せていた。