■伝説の1コマ!『巨人の星』だけじゃない“養成ギプス”
コミックス第8巻に登場する「石の微笑」の演技では、マヤはセリフも動きもない人形・エリザベスの役になる。一瞬でも動いてはいけない役に苦戦するマヤ。それを見た千草は、病院に置いていた物干し竿を見て、あるアイデアを思いつく。
場面が変わり、マヤや千草のもとに訪れた速水真澄。目の前でよろけるマヤに違和感を感じた真澄は、マヤの服をはぎとる。するとそこには、竹で作られたギプスで全身を固定されたマヤの姿が。
“養成ギプス”といえば『巨人の星』が有名だが、人形の役を演じるために全身を固定させられてしまったマヤの姿も、少女漫画誌に残るインパクトのあるシーンであった。
のちにマヤと千草に対し「正気じゃないまったく あなたもこの子も」と、あきれる真澄。しかし全身ギプスは演技指導のためならなんだってする千草の執念が生み出したアイデアであり、のちにマヤも自分から全身にギプスをはめて練習に挑んでいる。
師弟としての高い信頼関係があるからこそ、積極的に取り入れられたアイデアだろう。
現代のリアルな世界ではかなり問題になるであろう千草の指導。しかし『ガラスの仮面』はある意味“スポ根漫画”とも言われており、千草の厳しい指導はこの漫画で魅力を放っている。令和の今では“ありえない”描写も多いが、作品を支えるうえでの重要な場面を担っているのは事実だろう。
本作はいよいよ「紅天女」の配役が決まりそうな展開を迎えており、今後のストーリーから目が離せない。千草からマヤへの最後(!?)の演技指導が出ることにも期待しつつ、続編の刊行を期待したい。