■ちょっと過激なブラックギャグ『パパと踊ろう』
1991年から連載がスタートした地下沢中也さんの『パパと踊ろう』も、『ヤンマガ』を代表するギャグ漫画だ。初代作は1996年まで続いて終わりを迎えるが、同年には『新パパと踊ろう』がスタートした。
「ニッポン中流家庭ギャグ」というキャッチコピーを聞くとほのぼのファミリー系をイメージするが、内容は結構攻めていて、ブラックでシュールな笑いを提供してくれる作品となっている。
同作の主人公は、父親の天知茂(38)と二人の子ども。この父親がかなりぶっ飛んでいて、定期的にとんでもないことをしでかすのだ。子どもたちは、それに突っ込んだり一緒になってトラブルを巻き起こしたりする。息子は比較的まともだが、娘は父親に似てかなり個性が強い。
■変態高校生すげこまくんのドタバタ日常『GOD SAVE THE すげこまくん!』
1993年から連載された永野のりこさんの『GOD SAVE THE すげこまくん!』は、『ヤンマガ』ギャグ漫画の中でも異彩を放つ作品だった。同作の主人公は、眼鏡をかけた真面目そうな風貌の高校生・すげこま。
彼は「ちょっと変わった子」なんていうレベルではなく、核ミサイルを保有したり危ない薬品や機械を作ったりするマッドサイエンティストである。
さらに、新任の女教師・松沢まみ子が好きでたまらない彼。ド変態ゆえに素直に好意を出せず、監禁したりエロいコスプレをさせたりととことんいじめ倒すという歪みまくった愛情表現で彼女を追い詰めていく。
全体的にぶっ飛び要素の強いギャグ漫画だが、すげこまと松沢先生の壊れっぷりがツボにはまるという読者も多かった。
■アゴナシ運送の面々が繰り広げるお下劣ギャグ漫画『アゴなしゲンとオレ物語』
最後は、1998年から連載された平本アキラさんの『アゴなしゲンとオレ物語』。主人公は、「アゴナシ運送」の社長・ゲンと社員のケンヂだ。二人を中心として、様々な登場人物との際どいギャグの絡みが1話完結で展開されていく。
ゲンさんは、濃すぎる体毛に太すぎる眉毛、たるんだ体に触ると怪我をする鋭利なヒゲと、見た目から既にインパクトが強く、そのうえ強い妄想癖や性癖もある。ケンヂもなかなかにゲスだが、お互いの個性を潰し合わない二人のやりとりがとにかく面白い。
同作は、他のギャグ漫画よりもさらに下ネタが激しくギャグ要素も強烈。くだらなさとお下劣さのバランスが絶妙で、かなり破壊力のある作品だといえるだろう。
『ヤングマガジン』で掲載されていたギャグ漫画は、全体的に下ネタやブラックジョーク満載な作品が多かった。かつて大笑いしながら見ていた作品たちを、大人になった今、改めて読み返してみたいものだ。