■わずかに寿命を伸ばす「心霊台」
作中でもかなり印象に残っている命を助ける秘孔といえば「心霊台(しんれいだい)」だろう。これはラオウによって、3日後に全身から血を噴き出して死ぬという残酷な秘孔「新血愁」を突かれたレイの寿命を伸ばすため、トキが突き返した秘孔。ただその代償は凄まじく、「新血愁」による痛みが数倍になってしまうのだ。トキも「苦痛に耐えられぬ時にのむがいい」と、自害のための薬を差し出すほどである……。
痛みに耐えきったレイは、あまりの痛みで白髪になってしまっていた。それを見ただけで、どれほどの苦しみを耐え抜いたのかが分かる。
延命したレイは宿敵であるユダと戦うことができ、勝利を収めることに成功したが、その後間もなく死んでしまう。この秘孔がその後使われることはなかったが、それも「新血愁」に唯一対抗できる秘孔だからだ。北斗神拳の使い手がこの秘孔を誰かに突かない限り、使用することもないということだ。
■一時的に活力を上げる「刹活孔」
最後の秘孔は、作中では珍しく2度も利用される場面があった「刹活孔(せっかつこう)」。最初に使われたのはラオウとトキとの戦いで、2度目はファルコと修羅との戦い。
この秘孔を突くと、強制的に活力を上げて万全な状態へと回復をさせることができる。しかし、使用後は生命力を使い果たして確実に死に向かっていく。
トキとファルコを見比べると使用後の違いがあり、トキは数日生きていたがファルコは一夜と持たずに死んでしまった。副作用の個人差はあるようだが、「心霊台」と同様にかなりのリスクを伴う秘孔であることは間違いない。
しかし活力を取り戻したトキは剛拳であるラオウに対抗し、ズタボロだったファルコも完全回復し修羅に圧勝した。死ぬ前にベストを尽くしたいという武人の意志が伝わってくる秘孔だ。
『北斗の拳』には破壊を目的とした秘孔がたくさん登場するが、人を癒やす秘孔もあるのだ。活法と殺法は表裏一体といわれているが、正にその通りだろう。