2023年9月に『週刊少年ジャンプ』での連載開始から40周年を迎え、新作アニメの制作が発表されるなど令和の時代に再び注目を集めている漫画『北斗の拳』。
主人公のケンシロウが使用する北斗神拳は、708個あると言われる「経絡秘孔」と呼ばれる人体のツボのようなものを突くことで相手を倒す。残酷なまでに相手の肉体を破壊する北斗神拳だが、時にはそれだけではなく人々を生かすケースも描かれてきた。
北斗四兄弟の次男・トキは、北斗神拳を使用して人々を救いたいとも話しており、活用の仕方は使用者次第。そこで今回は、作中では珍しく「活法」として使用された秘孔をエピソードとともに振り返っていきたい。
■精神を落ち着かせる「定神」
まずは、突くことで気絶させて精神を落ち着かせる効果がある「定神(ていしん)」という鼻の下の秘孔から。ケンシロウが訪れた町で異常集団と囁かれているGOLANが若い女性や子どもを連れ去った場面で登場した秘孔だ。
ここでは、娘を連れ去られそうになった男性が抵抗したため、彼女の目の前で首を落とされてしまう。あまりにも残酷な父の死に様を見た娘のリマは錯乱状態へと陥るが、そこでケンシロウが突いたのが「定神」の秘孔。これによって彼女は気を失い、精神状態を落ち着かせることができた。
即効性があり、一瞬で気絶してしまうところからも、かなり効果的な秘孔だ。もし、相手が殺す必要のない人物なら、この秘孔を突くだけで十分だろう。無惨な光景がそこかしこに広がっている199X年の世界では、このような秘孔こそ必要かもしれない。
■失った視力を回復させる「建明」
次は失った視力を回復させてしまう「建明(けんめい)」という秘孔だ。これは、レイの妹・アイリに使用した秘孔で、これにより見えなくなった彼女の目を元の状態へと戻すことができた。
アイリは、ジャギによって結婚式直前にさらわれ、その後は牙一族に拉致されたことで自らの運命に絶望。そして、薬品で自らの目を塞いでしまうことになったが、それを救ったのがケンシロウだ。
牙一族から救出され、レイとの再会を果たしたことで、アイリは生きる力を取り戻す。そして、失った視力を取り戻すことができたことで、明るい未来を歩んで行けるようになったのだ。
この秘孔は、薬品で破壊された眼球でさえも回復させてしまうが、推測ではあるが、程度によっては使用しても効果がないと考えられる。その理由は、盲目のシュウをケンシロウが治さなかったからだ。
もし、この秘孔であらゆる盲目を治せるのなら、ケンシロウが命の恩人であるシュウを治さないはずはない。シュウは「建明」の秘孔でも治せないほど、自らの目を深く切り裂いていたようだ。