■先祖からの言い伝えがあったフリーザと「サイヤ人」の関係
最後は、フリーザが「サイヤ人」や「超サイヤ人の誕生」を恐れていたのかについて紹介する。
フリーザといえば、圧倒的な戦闘力を誇る悪のカリスマ。実際、フリーザ編の段階では圧倒的強さを見せ、超サイヤ人に目覚めたと言い張るベジータに圧勝し、界王拳20倍の悟空ですら歯が立たなかった。
そんな強さを持つフリーザだが、漫画『ドラゴンボール』では、彼が「サイヤ人」をかなり恐れていたという証言がところどころあり、ドドリアやザーボンが、徒党を組むサイヤ人を恐れていたと語っている。
また、ジースは「フ…フリーザさまがただひとつ おそれていた ス…超サイヤ人なのか……!!」と述べている。そういったサイヤ人の可能性を恐れて、悟空やベジータの母星である「惑星ベジータ」を破壊し、サイヤ人のほとんどを絶滅させている。
フリーザが、なぜサイヤ人を恐れていたのか。それは、『ドラゴンボール エピソード オブ バーダック』で語られている。
前日譚にあたる『ドラゴンボールZ たったひとりの最終決戦〜フリーザに挑んだZ戦士 孫悟空の父〜』で、悟空の父・バーダックは単独でフリーザに特攻を仕掛けるも敗北。ところが目を覚ますと、過去の惑星ベジータにタイムスリップしていた。そこに、フリーザの先祖である「チルド」が征服しに襲来。最初はチルドが圧倒するも、バーダックが超サイヤ人に覚醒し、チルドを倒す。
チルドは、臨終の間際に「金色に変化するサイヤ人には き……気をつけろ」と遺言を残し息絶える。つまり、フリーザがサイヤ人を恐れていたのは、先祖からの言い伝えがあったからである。
2024年で『ドラゴンボール』の連載が開始してから40年が経つが、いまだに多くの考察が行われるほど、この作品は非常にスケールが大きい。そのような深い奥行きや広がりのある世界が、40年近い時間が経ってもなお愛され続ける理由なのだろう。