2024年秋に展開される、久々の新作アニメーション『ドラゴンボールDAIMA(ダイマ)』が発表されるなど、新たな盛り上がりが期待されている鳥山明氏の漫画『ドラゴンボール』。
『ドラゴンボール』といえば、子どもにも分かりやすいストーリーと絵が魅力的な作品だが、実は資料集や鳥山氏のインタビューなどで意外な設定も明かされており、中には「なるほど!」と唸ってしまうようなものもある。そこで今回は、今まで気にしなかったが気づくと驚きの『ドラゴンボール』の設定についていくつか紹介したい。
■少年時代のトランクスと、未来トランクスの性格が違うワケ
まずは少年時代のトランクスと未来トランクスとの性格の違いだ。『ドラゴンボール』には、現代(本編)の人造人間編で生まれ、魔人ブウ編から本格的に登場する「少年時代のトランクス」と、人造人間によって荒廃した未来の世界から来た、通称「未来トランクス」の2人が存在する。
2人とも、両親は「ベジータ」と「ブルマ」であり、遺伝子的には何らかわりはないのだが、性格がまるで異なる。少年トランクスは「やんちゃ」「お調子者」といった性格であるのに対し、未来トランクスは、他者に敬語で接する「真面目」な性格である。
同じ遺伝子を持つ人物であるのに、あらためて見ると性格が全く違うトランクス。これについては、鳥山氏が資料集『DRAGONBALL大全集』 第7巻の中で「裏話」として語っており、「いやー、未来のトランクスとこっちのトランクスは、はっきり言って別人ですね」「かたや、母親しかいなくて質素な生活しか送れなかったのに、かたや、あんな父親に影響を受けて、大金持ちの家でわがままに育って。環境がまるで違いますからね」「人間は環境によって、性格とか左右されるといういい例ですね」とキャラの描き方を変えた理由を明かしている。
未来トランクスは生まれてすぐ父親のベジータをはじめ、クリリン、ピッコロなどの仲間を殺され、師匠である未来の悟飯も人造人間によって殺されてしまう悲惨な人生を歩んできた。
環境が違えば、性格も異なるというのは納得だが、どちらのトランクスもやはり魅力的だ。
■実は戦闘服ではなかった! フリーザは戦闘服を着ていなかった
続いては、フリーザが着用していた戦闘服の秘密について。
フリーザの初登場シーンはザーボンとドドリアを脇に従えて現れ、二人と同じくフリーザ軍の戦闘服を着用していた。肩当てがあるタイプとノースリーブタイプの違いはあるが、彼らの戦闘服は、もはやフリーザ軍ではおなじみのアイテム。地球に襲来したラディッツやベジータたちも着ており、ザコ戦闘員までもが同じ戦闘服を着ている。ベジータにいたっては、この戦闘服をいたく気に入っており、フリーザ編以降も着用。特別編アニメ『ドラゴンボール オッス!帰ってきた孫悟空と仲間たち!!』では、「これがサイヤ人の正装だ」とまで言い切っている。
さて、その戦闘服をボスであるフリーザも着用しているが、第2形態に変化するシーンで戦闘服が壊れる描写がある。これは、悟空が天下一武道会で100キロの重りを外したように、フリーザの気合を表現するために戦闘服を壊したものと思われていた。
だが、実はスタッフや担当編集者の証言によると、フリーザは最初から戦闘服を着ておらず、あれは身体の一部となる外殻のようなものだという。
2015年公開の映画『ドラゴンボールZ 復活の「F」』のパンフレットに掲載されている山室直儀氏のインタビューでは、山室氏が「鳥山明さんしか知らなかった話」としながら「第一形態のフリーザが身につけているプロテクターのようなものは実は体の一部で、あれが裸の状態というか本来の姿らしいんです」と制作裏話を語っている。
また、これについては同作の担当編集者も把握している設定のようで、2013年に行われたイベント「J-WORLD TOKYO」での展示で、担当編集者が同じく「これは服ではなく、実はフリーザの身体の一部なんです」と明かしている。またこのときは、フリーザを信奉する手下たちがフリーザの体の一部を模して戦闘服を開発し、それを装備するようになったという話もしており、意外な設定でファンを驚かせた。