『ドラクエ』『FF』だけじゃない、ドット絵でも感動が伝わった…エンディング画面にむせび泣いたファミコンの名作3選の画像
ファミコンソフト『MOTHER』(任天堂)
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 昨今のゲームではフォトリアル化が進み、高いグラフィック技術によりまるで映画のようなムービーで感動を味わうことができる。

 しかしドット絵でキャラが動いていたファミコン時代でも「感動体験」そのものは変わらず、たとえば『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』では冒険後に主人公たちを各地に送り返すエンディングがあり、セリフのない勇者の心情をドット絵から想像して涙したものだ。

 今回はそんなファミコンの名作を振り返り、エンディングが印象的だったタイトルをいくつかピックアップして紹介したいと思う。

■羽生結弦もプレイした? 『ふぁみこんむかし話 新・鬼ヶ島』のエンディング

 まずは、日本人なら誰もが知っている『桃太郎』を題材に、ファミコンディスクシステムで発売された1987年のアドベンチャーゲーム『ふぁみこんむかし話 新・鬼ヶ島』から。

 こちらは、「桃太郎」の仲間集めや鬼退治を、「金太郎」「桃太郎」「かぐや姫」「浦島太郎」「花咲爺さん」などの日本のむかし話を取り入れながら深堀していくというストーリー。ゲームシステムはRPG寄りのアドベンチャーだが、状況描写が細かく、おとぎ話の世界観にどっぷり浸れるという、ゲームでは中々体験できない雰囲気を楽しめる。テキストが基本的に縦書きというのもムーディだった。

 また2人の主人公を切り替えたり、一歩間違えたらゲームオーバーな選択肢を選ぶこととなるなど、難易度は高めな作品だった。

 そうして、長く困難な物語をクリアした先のエンディングが格別なもの。前編の、後編への期待感を煽るエンディングもワクワク感があるが、後編をクリアしたときの芸術的なドットの一枚絵とスタッフロールは、まるで映画のよう。達成感が込み上げてくる、感動的なエンディングとなった。

 ちなみに2022年にテレビ番組のインタビューで羽生結弦さんが「僕の原点」としてスーパーファミコン用ゲーム『平成 新・鬼ヶ島』を挙げ、ファンの間で話題となった。外伝的続編である同作では、本編終了後に一定の条件を満たすことで今回紹介した『ふぁみこんむかし話 新・鬼ヶ島』をプレイすることができる。羽生さんもまた、『新・鬼ヶ島』の感動的なラストを目にしていた可能性は少なくないだろう。

■とある仕掛けがラストの大感動に繋がる

 かわいい絵柄でワクワクする子どもたちの冒険を楽しめる、糸井重里さんプロデュースのファミコンRPG『MOTHER』。現代のアメリカが舞台となっているのが特徴で、所々で妙に怖かったりどこかノスタルジーを感じさせる、『ドラクエ』や『FF』とはまた違った感動を与えてくれた名作だ。

 同作のキャッチコピーは「エンディングまで、泣くんじゃない」というものだが、実際のエンディングはというと、非常に無機質で不気味だったラスボスとの戦い後、UFOが発射されて終了と、意外と淡白だったりする。だが、このあまりにも静かなラスボス戦で、ある行動が効果的に生かされた演出があり、初めてのゲーム体験に震えたプレイヤーは多いだろう。そして戦い後のエンドクレジットを見ながら、それまでの冒険の中で知った世界の綺麗な部分や汚い部分、不思議な部分を思い出し、長い旅を終えた感傷に浸るのだ。

 だが真の感動要素は、そういった部分だけではない。約3分ほどあるエンディングのスタッフロールで、自分の名前が流れるという演出が用意されているのだ。スタッフやゲームのキャラクターだけではない。プレイヤーである「君自身」も一緒にゲームを作ったんだというメッセージなのだろうか。中々に粋な計らいである。

 スーパーファミコンで発売された続編『MOTHER2 ギーグの逆襲』では、この何気なくプレイヤーの名前を入力させられるシステムが、さらなる感動を引き起こすことになる。こちらも必見の演出である。

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