■30代で高校生役に挑戦!『信長協奏曲』小栗旬さん

 石井あゆみさん原作の『信長協奏曲』は、戦国武将・織田信長にそっくりの容姿を持つ主人公・サブローが、ある日突然戦国時代にタイムスリップしてしまい、病弱だった信長に頼まれて“信長の代わり”として天下を取るため奮闘する物語が描かれている。

 2014年に実写ドラマ化された本作だが、高校生の主人公・サブローを演じたのが当時31歳だった小栗旬さんだ。

 30代に突入して大人の男性としての魅力が増していた当時、小栗さんのまさかの制服姿は視聴者をザワつかせたようだ。小栗さんも「ドラマのスタートが高校生というのは正直ネックで、今、そこに飛び込んで良いものかと…」と。“なるべく目立たないようにしなくちゃな”と思っていたことを、当時のインタビューで語っていた。

 しかし、作品のメインの舞台はタイムスリップ後の戦国時代のため、制服姿での登場は貴重なシーンとなった。そして本作では、サブローと信長役の一人二役をこなしていた小栗さん。高校生の若々しさ、そして、渋みが増してきた彼の魅力が存分に堪能できる作品となっていた。

 ちなみに、先述した『クローズ』で共演していた山田孝之さんも、本作では羽柴秀吉を演じている。いがみ合っている役どころだが、高い演技力が絶賛される二人の攻防もまた、本作の見どころだ。

■制服姿でも大人の色気が隠しきれない!『いぬやしき』佐藤健さん

 奥浩哉さん原作の『いぬやしき』は、余命宣告を受けたさえないサラリーマン・犬屋敷壱郎と、高校生・獅子神皓が偶然にも“とある事故”に巻き込まれ、ともに機械の体になってしまうというSF作品だ。

 同じ境遇となった2人だが、そのあとの行動は正反対。人々を救うために力を使う犬屋敷と、自らの生を実感するために殺戮を繰り返す獅子神……こうして運命を二分してしまう2人の戦いが幕を開けていく。

 2018年に実写映画が公開された本作。犬屋敷を木梨憲武さんが、獅子神を佐藤健さんが演じている。木梨さんの“さえないサラリーマン”っぷりは「ハマり役」と大きな話題となり、同時に注目されたのが、29歳の佐藤さんが高校生役を演じることだった。

 作中では友人の安堂直行を演じた本郷奏多さんとともに、制服姿を披露した佐藤さん。30代を目前に高校生を演じることについて、佐藤さん自身も戸惑ったという。しかし、年齢を重ねていくうえで、俳優として“できなくなる役”を大切にしたかったそうで、20代の自分自身を刻むため、あえて高校生役に挑んだとのことだ。

 ……とはいえ、やはり隠しきれない大人の色気を感じさせる佐藤さんの姿は、高校生らしからぬ存在感を放っていた。

 

 さまざまな思いで「高校生役」に挑戦していた俳優たち。成人キャストだからこそ、その圧倒的な実力でどんな年代の役柄もこなしてしまうのだろう。実際に10代の俳優が演じるのとはまた一味違った魅力のある彼らの姿を、ぜひその目で目撃してみてはいかがだろうか。

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