大谷翔平「憧れるのをやめましょう」WBC日本優勝に沸いた2023年…「憧れ」の本質を語った漫画・アニメキャラの名言の画像
『【推しの子】』3巻 [DVD](KADOKAWAアニメーション)

 2023年3月、WBCで私たちにすばらしい夢を見せてくれた「侍ジャパン」。野球の本場・アメリカには野球選手なら誰もが憧れるスーパースターが数多くいた。

 前回王者であるアメリカとの決勝戦を前に「憧れるのをやめましょう」と、チームメイトを鼓舞した大谷翔平さん。”憧れ”の本質を端的に捉えた言葉だ。そしてこれを受け、チーム一丸となり強豪国に果敢に立ち向かい勝利を手にした侍たちに日本中が沸いた。

 そしてこの言葉は「現代用語の基礎知識 選 2023ユーキャン新語・流行語大賞」にもノミネートされるほど、人々の心に強く焼き付いた“珠玉の名言”となった。

 実は、名作漫画やアニメでも”憧れ”の核心に迫るセリフは多い。今回は”憧れ”について語ったキャラの名言を通して、今一度「憧れるとは」を考えてみたい。

■『【推しの子】』ルビー「だって、憧れは止められない」

 まずは、今年4月にアニメが大ブレイクした『【推しの子】』(原作:赤坂アカさん、作画:横槍メンゴさん)から。上述した「2023ユーキャン新語・流行語大賞」に「推しの子/アイドル」がノミネートされているが、2024年には第2期放送が決定するなど、今、もっとも注目度が高い作品の1つだ。

 そんな本作のメインキャラクター・星野ルビーのセリフにも“憧れ”を語ったものがある。

 アニメ第9話では、ルビーが所属するアイドルユニット「B小町」に新しいメンバー、MEMちょが加入する。しかし、彼女はアイドル適齢期を大幅に超えた25歳であることが判明。そのことに引け目を感じて「B小町」加入をためらうMEMちょに対し、ルビーがまっすぐこう言うのだ。

「だって、憧れは止められない!」と。

 MEMちょは子どもの頃からアイドルを夢見ていたが、家庭の事情で諦めた過去がある。それを知ったルビーが「夢を追うのに年齢なんて関係ない」と、力強く励ますこのシーンは、ルビーの純粋さと憧れる気持ちの尊さを象徴している。

 転生前の人生では病魔に侵され、テレビのなかでキラキラ輝くアイドルに憧れていたルビーだからこその名言ではないだろうか。

 それに、転生前も計算すればルビーは12歳+16歳で28歳だ。MEMちょよりもちょっとだけ年上である。たしかに年齢なんて関係ない。

■『BLEACH』藍染惣右介「憧れは理解から最も遠い感情だよ」

 次は、2000年代の『週刊少年ジャンプ』(集英社)を支えた名作バトル漫画『BLEACH』(久保帯人さん)から、藍染惣右介の名言を紹介しよう。魅力的な悪役として根強い人気を誇る藍染は印象的な名言が多く、なかでもとくに有名なのが次のセリフだ。

「憧れは理解から最も遠い感情だよ」

 原作第170話で本性を表した藍染は、自分を敬愛する少女・雛森桃を刀で貫き、その蛮行を護廷十三隊十番隊隊長・日番谷冬獅郎に追究される。しかし藍染は涼しい顔で受け流し、先ほどの言葉を日番谷に投げかけるのだ。

 雛森は藍染の役に立ちたい一心で努力を重ね、護廷十三隊五番隊副隊長にまで上り詰めた。憧れの人への思いが雛森の原動力だったが、だからこそ藍染を神格化してしまい、その本性を見抜けなかったのだ。なんとも皮肉でやるせない……。

 憧れが強ければ強いほど見えなくなるものがある。その本質を鋭く突いたこのセリフ。『BLEACH』屈指の名言に違いない。

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