■ゲス過ぎる「あやかりたいものですな」のザコ

 あまりにも不用意な言葉を口にし、ラオウを激高させたザコもいる。それがウサという小柄なザコだ。コミックス第15巻「魔王への犠牲! の巻」で、ラオウはケンシロウと戦うさなかリハクのしかけた爆発によりケガを負い、ベッドで目を覚ます。そこに「お目覚めですか…」と登場するウサ。

 自身の体の手当を見たラオウが「これはうぬが?」と尋ねると、「イヒヒ いいえ それはここにおられますユリア様が」と、ヘラヘラした態度で答えるウサ。驚くラオウにユリアは「もう勝負はついたはず」と、ケンシロウとの戦いをやめるよう言い、去っていく。

「ユ…ユリア うぬは このラオウに情けを!!」と、屈辱のあまり震えるラオウ。するとウサは、「拳王様 チャンスじゃないですか このウサもあやかりたいもんですな」と、下品な笑みを称えながら言う。このセリフにラオウは「うぬら下衆にはわからぬ!!」と激高し、ウサを拳で瞬殺するのであった。

 眠るラオウの傍らにいたウサは、もともと御世話役として仕えていたのだろう。しかし余計な一言を口にしたばかりに怒りの鉄拳を食らってしまった、こちらもどうしようもないザコである。

 

 ラオウは“恐怖による支配”を実現すべく、拳王軍を作った。ラオウの部下は物語後半に登場するバランのような優秀な人物もいたが、拳王軍の多くは半グレ集団であり、部下に恵まれたとは言えない。

 しかしいつの時代も暴力で人を統治することはとうまくいかず、その多くは破滅の道へと続いている。『北斗の拳』のラオウと部下との関係には、そんな教訓も見て取れるだろう。

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