『はじめの一歩』や『アオアシ』にも…スポーツ漫画に登場する“主人公の母親キャラ”たちの珠玉の名言の画像
ビッグコミックス『アオアシ』第6巻(小学館)

 スポーツ漫画は、情熱と挫折の果てに主人公が栄光を掴む物語がメインだ。カッコいい主人公を時には強く、時には優しく支える影の存在がある。それが主人公の母親だ。

 夢へひた走る主人公にそっと寄り添う母親キャラは、物語に深みを与えてくれる。戦いに疲れた我が子を癒したり、諦めそうな時にあえて怒ったり……主人公のかけがえのない力になってくれるのが彼女たちなのだ。

 今回は、スポーツ漫画における母親たちが語った名言を紹介しながら、その魅力に迫っていこう。

■「殴られなくなったら見に行くからさ」…『はじめの一歩』幕之内寛子

 ボクシング漫画の金字塔『はじめの一歩』(森川ジョージ氏)の主人公、幕之内一歩の母親・幕之内寛子は「いつも寄り添う」を体現したお母さんだ。亡き夫が遺した釣り船屋を切り盛りしながら、プロボクシングに打ちこむ一歩を支える姿は健気そのもの。「スポーツ漫画主人公の母親」の理想像といえよう。

 そんな寛子だが、一歩がボクサーとして戦うことに複雑な気持ちを抱いている。一歩が東日本新人王1回戦に挑む第30話では、「今日は観にこれるの?」という一歩の言葉に「絶対殴られなくなったら観に行くからさ」と、返している。

 愛する息子が殴られる姿は見たくない。母親として当然の感情だ。しかし、息子が大好きなボクシングも否定したくない。母だからこその心のせめぎあいが“殴られなくなったら観に行く”という言葉になったのだろう。

 寛子の愛情の深さや、我が子への思いやりがよく伝わる名言である。ちなみに、当の一歩は「そんなのムリだよ……」と返していた。

■「勉強なんかに負けていいの!?」…『MAJOR』茂野桃子

 次は主人公・茂野吾郎の波乱万丈な野球人生を描いた名作『MAJOR』(満田拓也氏)から、茂野桃子を見てみよう。

 最初は幼稚園の園児と先生の関係だった吾郎と桃子は、吾郎の父・本田茂治の死をきっかけに親子となる。吾郎が中学生になる頃には、“本当の母と息子”といえるほどに絆を深めていた。

 第205話では、桃子が母親として吾郎に発破をかける展開がある。名門・海堂学園高校野球部の入団テストに合格した吾郎だったが、海堂に入るには学力テストにも受かる必要があった。

 大嫌いな受験勉強がどうしてもがんばれない吾郎を、桃子が「勉強なんかに負けていいの!?」「あんたの野球って結局そんなもんなの!?」と叱りつける。

 吾郎がどれだけ野球が好きかを誰よりも知っているのは母親の桃子だ。勉強のために野球で妥協してほしくない。そんな思いから吾郎を叱咤したのである。

 母の正論に焚きつけられた吾郎は机にかじりつくように勉強し、ついには海堂への切符を手にした。厳しい言葉で息子の背中を押すのも、母親の役割なのだ。

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