■エレンの継承した「進撃の巨人」

 1月4日に10年半にわたるアニメがついに最終回を迎えた諫山創さんの漫画『進撃の巨人』も作中でタイトル回収が行われた作品のひとつだ。同作は、身を守るためにつくられた高い城壁の内部で暮らす人間と、侵攻してくる巨人との戦いを描いた物語だ。城壁の外側に自由を求めた主人公・エレンや仲間たちが戦いの中で世界の真実を知り、さらなる戦いに身を投じていく。

 同作は複雑な設定が多く、ファンによる考察が行われた作品で、『進撃の巨人』のタイトルは当初、城壁の内部に進撃してくる巨人そのものを指しているといわれていた。しかし、タイトル回収された88話で、タイトルの本当の意味を知ることになった。

 実は、巨人化の能力には9つの種類があり、そのうちエレンが継承した能力が「進撃の巨人」だったのだ。「進撃の巨人」の能力は、記憶を継承し、未来の継承者の記憶も共有できるというもの。巨人の謎の多くが解明されたこのシーンでのタイトル回収に鳥肌が立った読者も多いだろう。

■「人間どもこそ地球を蝕む寄生虫!いや…寄生獣か!」

 岩明均さんの漫画『寄生獣』は、突然、宇宙から地球に飛来した寄生生物に右腕を乗っ取られた高校生・新一と寄生生物・ミギーが、共同生活を余儀なくされるところからはじまる作品だ。この寄生生物に脳を乗っ取られると、人間を捕食するだけのモンスターになってしまうため、人類の天敵として敵対することに。

 そして「寄生獣」のタイトルは当初、この寄生生物のことを指していると誰もが思ったことだろう。しかし、物語の終盤に本当の意味が明らかに。寄生生物と手を組み、身勝手な行動を繰り返す人間を殲滅しようとした市長・広川が「人間どもこそ地球を蝕む寄生虫!いや…寄生獣か!」と口にしたことで、タイトル回収されたのだった。人間こそが地球環境を脅かす「寄生獣」という、まさかのタイトル回収には驚かされるとともに、今日になっても止まらない地球環境問題の重さに目を覆いたくなったのは筆者だけではないだろう。

 以上、今回は完結している漫画から、ストーリー中でタイトル回収された例を4つ紹介した。どの作品もタイトル回収が素晴らしいだけでなく、ストーリーの構成も練りに練られていて読み応えのある名作ばかりだ。

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