『エースをねらえ!』や『ガラスの仮面』にも…昔の少女漫画では当たり前!? 令和の今なら不自然でツッコミたくなる“お決まりのシーン”の画像
『ガラスの仮面』第48巻(プロダクションベルスタジオ)

 時代を超えて愛される、昭和の名作少女漫画の数々。その作品の多くがアニメ化やドラマ化もされており、何年経ってもその魅力は色褪せることはない。

 しかし令和の時代になり、今一度昭和の少女漫画を読み直すと、つい笑ってしまうことはないだろうか。「こんな大げさな表現!?」「こんな言葉遣いをしてたの!?」など、今だからこそツッコミたくなるシーンも多い。今回は昭和の名作少女漫画から、今では不自然に感じてしまうお決まりのシーンを紹介しよう。

■盗み聞きは当たり前⁉ 木陰からいつも重要な話を聞き出すキャラたち

 昔の漫画では、木陰から好きな人を覗いたり、偶然重要な話を聞いてしまうシーンが多かった。とくにその場面が見られるのが、山本鈴美香氏による人気テニス漫画『エースをねらえ!』だ。

 本作には主人公の岡ひろみのライバルでもある、長身の女子テニスプレイヤー・緑川蘭子、通称“加賀のお蘭”が登場する。クールで力強いテニスをするお蘭だが、やたら木陰から登場するシーンが多いのだ。

 たとえば、ひろみが後輩女子から告白を受けるシーンがある。思わぬ告白に動揺するひろみだが、ここで一部始終を見ていたお蘭が木陰からパサっと登場。告白シーンを盗み見るといった展開は、昔の少女漫画に多かったと思う。

 さらに本作では、木陰から盗み聞きをする人が2回続けて現れるシーンもある。高校を卒業するのをきっかけに、ひろみに大切な優勝メダルを渡す藤堂貴之。“こんな大事なものもらえない!”と、あとを追おうとするひろみの前に、木陰から一部始終を見ていたコーチの宗方仁が登場。仁は“メダルを受け取れ”と言うも、反対するひろみ。するとそこにまた木陰からパサっとお蘭が登場し「あら おじゃま?」と、話に割って入るのであった。

 昔の漫画では、盗み聞きがポイントとなって話が展開することも多かった。なかでも木陰に隠れて人の話を聞いているシーンは多く、今ではあまり見ないシチュエーションに時代を感じる。

■少女の胸ときめく「ドキッ!!」が心筋梗塞並み

 少女漫画ではヒロインが「ドキッ!!」と、胸に手を当てるシーンも多い。現代の少女漫画にもよくあるが、昭和の作品の場合、そのドキッがまるで心筋梗塞を起こしたかのように見えて少々心配になる。

 そんな大きな「ドキッ!!」が顕著に現れる作品が、美内すずえ氏の『ガラスの仮面』だ。主人公の北島マヤは、学費などを稼ぐために毎週日曜日、公園の売店で働いた時期があった。そこに現れたのが、当時気になる存在だった桜小路優だ。

 ドリンクを頼み、売店の手伝いまでしてくれた優。立ち去るときに颯爽と帽子を被り「またくるよ」とマヤに言う。その瞬間、お盆を抱えたマヤの胸は「ドキン」と激しく鳴り、顔色まで悪くなるのだ。好きな人への胸の高鳴りを表したシーンだが、あまりにドキン具合が激しい。

 このほかにも本作には、マヤの演技力に衝撃を受けて顔面蒼白になる姫川亜弓や、マヤと優の仲に嫉妬して真っ白な瞳になる速水真澄など、あまりの衝撃に心臓が止まりそうな場面がたくさん登場する。

 しかし『ガラスの仮面』はそうした表現が読者にウケており、なんと「白目グッズ」なるものも販売されている。心臓が止まりそうなほどの「ドキッ」のシーンは、もはや本作の人気お決まりシーンと言えそうだ。

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