■女子の笑い声は「ホホホ」男の子は「あははは」風がないのになびく髪の毛も昭和ならでは
昭和の少女漫画の多くは、笑い方に特徴がある。とくにプライドの高い女子キャラクターの笑い声は「ホホホ」が多く、『エースをねらえ!』のお蝶夫人もこの笑い方であった。ちなみに筆者は、未だ“ホホホ”と笑う女性を実際に見たことはない。
そして昔の少女漫画では、悪だくみを考える男の笑い声に「ははは」が多かった。
ひだのぶこ氏の『銀色のフラッシュ』は、スケートに青春をかけた男女4人の恋物語だ。ヒロインの長内理沙が気になる倉本健は、彼女からの質問に嘘を交えて答える。たくらみのある顔で「相手があんなカワイ子ちゃんなら言うことないぜ…ハハハ」と高笑いをしている。カワイ子ちゃんという言葉も含め、とても時代を感じる。ちなみに「ははは」と笑う男子は『ガラスの仮面』の初期にもよく登場していた。
さらに、昔の少女漫画では風が吹いていないのに髪の毛がサラサラとなびくシーンも多かった。『銀色のフラッシュ』の同シーンでは、健のことを幼馴染と信じてドキドキする理沙の髪が大きくなびいている。場所は室内スケートリンクであり、風はない。動いてもいないのに、ドライヤーを当てたように髪の毛が大きくなびく姿が印象的だ。
今、読み直すと、ちょっと笑ってしまうような昭和少女漫画のあれこれ。でも、当時は何の違和感もなく読んでいた。きっとこの先数十年経てば、今人気の少女漫画も未来の読者に何かとツッコまれるのかもしれない。
漫画は描かれた時代によってセリフや言い回しに特徴がある。そんな時代背景を感じながら読み返してみるのも楽しいだろう。