『はいからさんが通る』に『ガラスの仮面』も…とにかくモテた「70年代少女漫画」ヒロインたちの驚きのエピソードの画像
デザートコミックス『はいからさんが通る』新装版第1巻(講談社)

 昭和に人気を誇った少女漫画の多くは、天真爛漫なヒロインが主役だ。そのうえ、“絶世の美女”というケースも少なからずあり、昔のヒロインはとにかくモテていた記憶がないだろうか?

 確かに、性格もスタイルも良く、キラキラとした瞳が印象的なヒロインに心奪われる男性は多いだろう。登場する多くの男性キャストにモテまくる主人公は、うらやましい限りだ。今回は、そんなモテまくったヒロインたちの驚きのエピソードを紹介する。

■幼馴染からダンディな編集長まで…『はいからさんが通る』花村紅緒

 1975年〜77年に『週刊少女フレンド』(講談社)で連載された、大和和紀氏の人気漫画『はいからさんが通る』。本作では美しいイケメンたちが多く登場するが、そのほぼすべてのキャラクターが主人公の花村紅緒を好きになっている。結果的に紅緒は許嫁であった伊集院忍と結ばれるのだが、そこに至るまで実に多くの男性にモテまくった。

 まずは、幼馴染の藤枝蘭丸。蘭丸は歌舞伎の女形役者で美しい男性だが、紅緒は蘭丸のことを弟のようにしか思えず、恋人になることはなかった。

 次にシベリア出兵のときに忍の部下だった鬼島森吾は、紅緒と行動をともにするうちに彼女を好きになる。しかし紅緒は忍の婚約者。忍への忘れられない強い気持ちを知った鬼島は、見守る存在に……。ただし鬼島の場合は、紅緒の親友の環とくっつくことができたので幸せを掴んだと言えるだろう。

 そして、のちに紅緒が務める出版社の社長兼編集長である青江冬星。登場当初は大の女嫌いだったが、男勝りな紅緒と行動するうちに徐々に惹かれ、最後は紅緒と結婚まで行きつく。しかし挙式当日に関東大震災が起こり、最終的には紅緒を忍に奪われるという、もっともかわいそうな男性と言えそうだ。

 紅緒は、おてんばでお酒も好きなじゃじゃ馬娘。女性らしさをあまり感じさせないヒロインだが、その自由奔放な性格がイケメン男性たちにとっては魅力的に感じたのかもしれない。

■先輩から後輩、そして同性にまでモテモテ!『エースをねらえ!』岡ひろみ

『エースをねらえ!』は、山本鈴美香氏によって1973年2・3合併号から『週刊マーガレット』(集英社)で連載された。テニスのスポ根漫画といったイメージもあるが恋愛要素も多く、こちらも主人公・岡ひろみのモテっぷりがすごい。

 まずはひろみが思いを寄せる同テニス部男子の副キャプテン・藤堂貴之は、生徒会長も務める王子様的な先輩。彼も熱心にテニスに打ち込むひろみに徐々に心を寄せ、最終的にひろみを心身ともに支える存在になる。

 そして大きな愛でひろみを包んだのが、ひろみのコーチである宗方仁だ。ひろみは絶大な信頼を寄せていたが、病気のためにこの世を去る。晩年、宗方はひろみのことを“愛している”と力強く口にしている。

 また、ひろみは学年が上がるにつれ後輩の指導もおこなっていくのだが、練習で打ち合った1学年下の男子部キャプテン・香月茂は、彼女の実力に惹かれ徐々に恋愛感情を含んだ憧れを持つ。またその後輩であり、亡き宗方コーチを彷彿とさせる神谷裕介も、ひろみの指導を受けるうちに気になる存在に。さらにひろみは美しい後輩女性の英玲からも「あなたのなにもかもが好き」と告白されているのだ。

 このほか、生徒会議長を務めるメガネのイケメン千葉鷹志も、ひっそりとひろみに恋愛感情を寄せている。激しいテニスの練習の陰で、実に6人もの人物からモテまくったひろみ。これがテニス同好会のような場であったら、間違いなくひろみはサークルクラッシャーと呼ばれていただろう。

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