■中学生とは思えないほどの発想と行動力!『暗殺教室』赤羽業
最後は松井優征氏による『暗殺教室』(集英社)から、中学生にして停学を食らった赤羽業(カルマ)だ。
カルマは2年の中頃から停学となり、3年生となってクラスメイトたちが「殺せんせー」を殺すことに躍起になっていた時に復学した。
カルマが停学になった理由は、同級生をイジメから救うため上級生に手を上げてしまったこと。普段はカルマの味方になっていた教師も、暴力を振るわれた生徒が学校でも優秀な生徒と知ると手のひらを返す。それによってカルマは教師に失望して信じることをやめた。
復学後に殺せんせーと初めて対峙したカルマは、握手する振りをして掌に仕込んだ対殺せんせー用ナイフによって触手を溶かしてしまう。しかもその後に、殺せんせーを仕留めるために取った行動も中学生離れしている。自ら崖から飛び降り、殺せんせーが助けにきたところを落下しながら狙おうとしていたのだ。結局、殺せんせーはカルマの作戦に対応しながらも助けてしまうのだが、カルマの発想や行動力には驚かされる。
この一連の流れからも、カルマは同級生と比べても格が違うのが明らかだ。殺し屋を捕縛した際には、腹いせのために鼻の中にワサビとカラシをねじ込むという荒業を見せていた。怒らせると作中で一番怖いキャラかもしれない。
停学などから復学してくるキャラは、それまでに登場していたキャラとはひと味違った人物像であることが多い。実質的には新キャラである場合も多いが、前歴については伝聞や回想として語られるので、以前からいたような錯覚を読者に植え付けながらミステリアスかつ実力のあるキャラとして印象付けることができ、作品にアクセントを加えられる存在なのだ。敵として現れれば手ごわいし、味方として現れれば心強い。登場することで新たな展開を生む便利なキャラとも言えるだろう。