『呪術廻戦』秤金次に『暗殺教室』赤羽業…復学することで作品の展開に大きく影響した漫画の「停学生徒キャラ」3選の画像
アニメ『呪術廻戦』(C)芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会

 学生が登場する漫画には、時として「停学」や「退学」といった言葉が出てくる。ヤンキー漫画に特に多いイメージがあるが、停学になる原因は様々で、単なる素行不良だけでなく、複雑な事情が関係している場合などには確固たる意志で敢えて茨の道を選んでいることもある。

 停学キャラは復学をすると周囲から恐れられたり、遠巻きに避けられたりしてしまうことも多いが、一方で、何か抜きん出たものを持っているためにどこかカリスマ性を感じさせることもある。そして、そうした特異なキャラであるために、作品の展開を大きく左右する寸罪になることもしばしばだ。

 そこで今回は、停学などから復学したキャラの中でも、特に個性的な3人を紹介していきたい。

 

※以下には漫画『呪術廻戦』『ろくでなしBLUES』『暗殺教室』の一部内容に触れています。ストーリーを解説するのが本記事の主目的ではありませんが、気になる方はご注意ください。

 

■ノッてる時は乙骨より強い!?『呪術廻戦』秤金次

 芥見下々氏による『呪術廻戦』(集英社)では、呪術師を育てる機関として「呪術高専」という学校が舞台となっている。将来の呪術師として有望な人物が全国から集められている学校だ。

 そんな呪術高専東京校の3年生として在籍している秤金次は、停学中ということで作品序盤には一切登場しない。そもそも呪術高専は通常の学校とはかなり異なるので、停学という概念が存在するのが不思議でもあるが、金次が停学となった理由は保守派と揉めたことらしい。金次はその他にも駐車場で賭博を開くなど、学生とは思えないことをしている。そのため2年生からは「ろくでなし」とまで言われていた。

 金次が復帰したのは「死滅回游」からである(この時点でも停学中なので復学ではない)。根っからのギャンブラーというキャラに相応しく、その能力も予想外。領域展開「坐殺博徒」はパチンコ台をモチーフとした術式で、大当たりすると4分11秒の間は無制限に呪力があふれ続け不死身となる。その強さは、五条悟からは「僕に並ぶ術師になる」と、乙骨憂太からは「ノッてる時は僕より強いよ」と評価されるほどのもの。

 金次の強さを知らしめることになったのは、鹿紫雲一との戦いだろう。鹿紫雲は400年前の術師で、宿儺と戦うために術式を練り上げてきた猛者。能力についても明らかになっていないが、電気のような呪力を持つということだけは見て分かる。パンダを一瞬で瀕死の状態にまで追い込んで圧倒するほどの強さを持っている。

 金次はそんな鹿紫雲を相手に、殺されかけては「坐殺博徒」によって復活を繰り返し、鹿紫雲の呪力を尽きさせて勝利してしまった。

 停学中の身でありながらもこれほどの活躍を見せた金次は、仲間の呪術師として頼りになる存在であることは間違いない。

■圧倒的な腕力と哀愁漂う雰囲気『ろくでなしBLUES』川島清志郎

 次は停学をさらに飛び越えて、少年院に入ることによって学校に行けなくなったキャラを紹介したい。森田まさのり氏による『ろくでなしBLUES』(集英社)に登場する川島清志郎だ。川島は大阪にある極東高校の学生で、兄を陥れた暴力団員に対する傷害事件で少年院に収容されることになる。

 少年院を出て復学すると、極東高校の頭である辰吉を倒して、自らが仕切ることになる。10円玉を指先で曲げ、100キロ以上はある上山を軽々と持ち上げ、東京四天王の1人である鬼塚に対しても圧勝してしまうなど、川島の強さはそれまで登場したキャラクターと比較しても別格と言える。

 そんな川島だが、一方でどこか寂しさを感じる雰囲気を身にまとっている。ドストエフスキーの『罪と罰』を読み耽る仕草からも哀愁が漂い、血気盛んなヤンキー学生とは考え方から違って見える。兄を亡くした川島だからこそ、強さとは何か? 仲間の信頼とは何か? といったことについて思索をめぐらせるようになったのだろう。

 しかし、太尊とのタイマン勝負で敗北することになり、そんな思いも吹き飛び、仲間を信頼することの大切さを知る。作中でも屈指と言える味のあるキャラで、それが読者からの人気が高い理由でもある。

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