■戦場で数々のひらめきを見せたノリス・パッカード
最後は『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』で敵役として登場したノリス・パッカード。グフ・カスタムに搭乗して戦う展開や、部下たちからの厚い信頼感を得ている点で、前述のラルと重ねて見ていた人も多かったと思われるが、獅子奮迅の戦いぶりを見せた彼もまた最強のオールドタイプであることは間違いない。
ノリスはグフや陸戦型ガンダムよりも劣る性能のザクJC型でシローと互角以上の戦いをこなしていた。また、MSだけでなく戦闘機の操縦も一流であり、ドップを操縦してアイナのアプサラスを援護したり、連邦のジェット・コア・ブースターを撃墜したりもしていた。
そしてノリスの強さの真骨頂が、本編での最終戦で乗ったグフ・カスタムでの戦闘シーン。この戦闘ではシローたちの乗るガンダム3機に加えて量産型ガンタンクが3機いた不利な戦況に置かれる。それにも関わらず、ノリスはグフのヒート・ワイヤーを駆使した立体的な戦い方で2機ものガンタンクを圧倒したのだ。
ここで最も注目すべきはビジュアル的な撃墜シーンよりも「ノリスの知性」だろう。
テリー・サンダースJr.の読みを外した上でガンタンクを撃墜し、カレン・ジョシュワの機体を行動不能に。「武人としての強さ」と「戦闘経験で培った策士な一面」の両方を上手く使いこなせる点こそがノリスの強みと言えるかもしれない。
シローとの最後の戦いにおいても経験から生まれる“ひらめき”は光る。ガトリング砲を発射するフェイントを入れながらヒート・ワイヤーを放ったり、さらにはガンダムEz8を盾にカレンやサンダースを相手にしたりと、数で言えば圧倒的に不利な状況にも関わらず冷や汗ひとつ流さず戦い切って見せた。もしもノリスがアムロと戦っていた場合、ラルやシャア以上に苦戦させていたとも考えられる。
今回紹介した3人とは異なる意味で強いオールドタイプも、もちろん多く登場している。私の知る限りでは『第08MS小隊』のサンダースや、『Zガンダム』のジェリド・メサやブラン・ブルタークなど強いオールドタイプの部類に入っていたはずだ。また機会があれば、この3人の強さについても振り返ってみたい。