■『LIAR GAME』密輸ゲーム!ヨコヤVSアキヤマ
甲斐谷忍氏による『LIAR GAME』でも、日常では考えられないようなゲームがたくさん描かれてきた。本作では金を巡っての醜い争いが繰り広げられ、ムカつくキャラも多く登場する。
その中のひとりがヨコヤで、大企業の息子で何不自由なく暮らしているにもかかわらず、ライアーゲームに率先して参加した。その理由は、人を思い通りに支配するためだ。
そんなヨコヤが主人公のひとり・アキヤマと対決することになったのは「密輸ゲーム」である。このゲームは2つのグループに分かれて、敵陣営にある金を自分の陣営に運ぶというもの。密輸役と検査役を交代でおこない、相手が金をトランクの中に入れているか、いないかを見抜くゲームだ。検査役はそのときの状況に応じて、「ダウト、◯◯円」、もしくは「パス」を宣言する。
ダウトをした場合、宣言した金額よりも少なければ自軍に振り込まれ、多ければ相手に振り込まれる。もしトランクの中に何も入っていなければ、提示した額の半分が相手に入ってしまう。
このゲームはかなりの長期戦でもあるので、相手の情報を集めるのが重要だ。そのため、ゲームが開始されるとヨコヤはアキヤマ陣営のキクザワをすぐに買収。手に入れた情報をもとにダウトを次々と成功させ、金を蓄えていく。
その事実が判明したときには絶望的な状況だったが、アキヤマはハッタリを武器にヨコヤ陣営に近づいた。そしてライアーゲームからの救出を条件に、ヨコヤ陣営の人間を3人仲間に引き入れる。
ヨコヤはすぐさま裏切りに気付くが、それもアキヤマの予想の範囲内。彼は無事に自分たちが目指した、“ゲームそのものには負けてがっつり儲ける”というシナリオを達成した。
最後はもうひとりの主人公・ナオにまで「敗者」呼ばわりされ、ヨコヤは怒りのあまりペット(?)のネズミを握りつぶして殺してしまう。何でも思い通りになると思っていたヨコヤが(実質上の)敗者となる瞬間は、かなり印象的だ。
ギャンブルがテーマの作品にはいろんな敵キャラが出てくるが、ほとんどがムカつく者ばかり。そんなキャラが絶望に突き落とされる姿を見ると、思わずスカッとしてしまう。