■カラフルなクレヨン王国を舞台にした物語『クレヨン王国』
『クレヨン王国』は、「すぐとなりにある身近な自然」をテーマに描かれた福永令三さんによる児童文学。この作品も歴史があり、『クレヨン王国の十二か月』は1964年に書かれ講談社児童文学新人賞を受賞した。
1980年に入ると青い鳥文庫から刊行され、瞬く間にヒット。クレヨンという未就学児〜小学生の身近なアイテムがキャラになったり心踊る大冒険があったりと、ファンタジーが好きな子どもたちから絶大な支持を集めた。
アニメ化されたのは1997年で、テレビ朝日系列・日曜朝8時半に放送された。ちなみにこの枠では同作以降、『おジャ魔女どれみ』『明日のナージャ』『プリキュア』と人気作品が次々放送されている。
タイトルは『夢のクレヨン王国』。原作を取り入れたオリジナルストーリーで、キャラ設定なども大きく変わっていた。シルバー王女の可愛さもさることながら、12人の野菜の精たちを呼び出す「おまじない香水びん」を扱う魔法少女のような設定だったのも、子ども達が夢中になったポイントだろう。筆者も「おまじない香水びん」を持っていた記憶がある。
■子ども向け怪談の金字塔『学校の怪談』
『学校の怪談』は、1990年代怪談ブームの火付け役ともなった児童文学である。年代を問わず、大多数が子ども時代に一度は見聞きしたことがあるだろう。原作者は民俗学者の常光徹さん。1985年から学校にまつわる怪談を聞いて集め、1990年にそれらをまとめた『学校の怪談』が刊行された。
アニメは2000年10月からフジテレビ系列で放送されている。が、アニメは学校に巣食うお化けに子ども達が挑むという物語形式になっており、原作とは大きく違う。とはいえ、「闇目」や「ババサレ」など、恐怖エピソードも満載で見どころだらけだった。
常光さんは2010年に行われた「新刊ニュース」の対談で、「怪談を聞く、話すというのは、子どもたちの想像力を育てる上で効果的で大切なこと」と述べていた。たしかに毎日通う学校を舞台にした「トイレの花子さん」「夜中に目が光るベートーヴェン」などの怖い話には他にはない不思議なドキドキ感があり、好奇心を搔き立てられたものだ。
ここで紹介した作品以外にも、80年代〜90年代には多数の児童文学がアニメ化されている。オリジナルストーリーになろうとも、作品達の素晴らしさは変わらない。DVD化やサブスク配信されていない作品もあるが、チャンスがあったら子どもと一緒に楽しみたいと思う。