■実は本人も痛かった…『無限の住人』尸良・骨がむき出しになった右腕
最後は、沙村広明氏の『無限の住人』から尸良(しら)を紹介する。
登場人物全員がタダ者ではないと言っていい本作だが、尸良は作中屈指の悪人である。コミックス5巻で登場し、何人もの逸刀流剣士を殺害、さらには女性を切り刻み、いたぶって殺すことが好きな快楽殺人鬼でもある。
利害の一致から一度は主人公の万次と手を組んだこともあったが、そのあまりに極悪非道な振る舞いに愛想をつかされ右手を斬り落とされる。以降、万次に恨みを募らせる復讐の鬼となった。
10巻で再登場した尸良は、斬られた右手を自ら削いでおり、剥きだした骨を槍のように使っていた。刺されたほうももちろん痛いだろうが、刺している尸良本人も痛いという常軌を逸した骨の武器である。
骨を削る痛みで髪は真っ白、鋭い骨が剝き出しになっている右手……と、ビジュアルもインパクト抜群。結局は左手も切り落とされ滝壺に転落し生存不明となるのだが……、しかし14巻で再々登場。なんと今度は、痛みを感じない不死身の身体を持つ最恐最悪の敵となっていた。
尸良の骨の武器は見た目から十分恐ろしいものだったが、それ以上に恐ろしいのは執拗に万次に向けられる尸良の復讐心だったのかもしれない。
今回は、自らの強靱な「骨」を武器にして闘う漫画・アニメキャラを紹介してきた。いずれも強く恐ろしい骨の武器だったが、同時に腕がちぎれたり骨が飛び出したりと、見てるこっちも痛くなるようなそんな過酷な武器でもあった。
普段生活していて骨を気にすることはあまりないだろう。骨を武器にして闘え!とは言わないが、今回紹介したキャラたちが、骨粗しょう症予防など自身の「骨」について考えるきっかけになれば幸いだ。