2009年9月から2021年4月にかけて連載された諫山創氏による人気漫画『進撃の巨人』。コミックス全34巻に渡って描かれた物語は2013年4月からテレビアニメ化されており、2023年11月4日深夜放送の完結編で幕を閉じた。
漫画、アニメで多くのファンが物語の行方を見守った『進撃の巨人』では、序盤から残酷な描写が多いことでも話題を集め、連載が終了した今でもその様子をすぐに思い出せるようなトラウマ級の展開が多くあった作品でもあったように思う。特に仲間や罪のない人間がなすすべもなく呆気なく死んでいくさまは、つい目を覆いたくなるものばかりだった。
そこで今回は、原作・アニメが終わった今でも忘れられない、作中キャラの衝撃的な死亡シーンをまとめたい。
※以下には漫画『進撃の巨人』の一部内容に触れています。ストーリーを解説するのが本記事の主目的ではありませんが、気になる方はご注意ください。
■のちの展開でも重要シーンとして繋がる母の無力な最期
まずは、たった2話で起こった衝撃的展開。シガンシナ区で生活する主人公のエレン・イェーガーらのもとに約100年ぶりに巨人の群れが壁内に侵入するところから『進撃』の物語は始まる。巨人が迫ってくる中、エレンは家の下敷きになった母・カルラを助けようとするが、結果母親は目の前で巨人に捕食されてしまうのだ。
不気味な姿の巨人に握り潰されてぐったりとした母は、頭から食べられてしまい巨人の口から足だけがのぞいている。そのコマで描かれた「パキパキッ」という骨の折れる効果音が、この物語における人間のあまりにも無力で弱々しいさまを表していた。
なお、このシーンは後々の展開でも重要シーンとして生きてくる。改めて読み返すと、エレンがかわいそうでやるせなくなってしまう。
続いては、漫画史の中でも屈指のトラウマと名高い、調査兵団分隊長であるミケ・ザカリアスの死亡シーン。
調査兵団No.2の戦闘能力を持ち、並外れた鋭い嗅覚を持つ無口なキャラとして登場したミケ。そのどう考えても強者感漂う姿から今後大活躍する重要キャラと思われていたが、その退場はあまりにも早かった。
仲間を逃がすために自ら囮になったミケは、それでもどうにか窮地を切り抜けてくれるだろうという読者の期待をよそに、獣の巨人の命令により数体の巨人に襲われてしまう。無口だった彼なのに、最後は「やぁだぁぁぁやめてえええ」というコマを埋め尽くすほどの叫び声を上げながら無惨に食い殺されてしまった。巨体の巨人に一飲みにされるという楽な死に方ではなく、小型の巨人たちに弄ばれるように少しずつ食べられていくさまはグロテスクさを倍増させている。
どんなに強い設定のキャラでも大した活躍シーンもなく容赦なく死んでしまうというこのシーンは、人生はご都合主義にはならないという妙なリアルさを感じるシーンとなった。