10月から放送されているドラマ『フェルマーの料理』では、数学と料理をかけ合わせた新しいストーリーが話題を呼び、キャストたちの洗練された手さばきも注目されている。作中で華麗な料理姿を披露しているカリスマシェフ役の志尊淳さんは、実は私生活ではほとんど料理をしてこなかったというのだから驚きだ。
そこで今回は、志尊さんのように実写化作品で“料理人”を演じるため、並々ならぬ努力で役づくりをおこなった俳優たちをご紹介していこう。
■ドラマ出演を機に料理の道へ!『バンビ〜ノ!』松本潤さん
2007年にドラマ化された、せきやてつじさん原作の『バンビ〜ノ!』。主演に松本潤さんをむかえ、人気イタリアンレストランで奮闘する若き料理人の姿を描いている。
松本さんが演じる大学生・伴省吾は、学生ながらイタリア料理を愛し、自身のレストランを開店する夢を持っている。アルバイトをしながら調理師免許を取得するなど、着々と自身の夢へと突き進む伴は、縁あって東京の人気イタリアンレストランで働くことになり、大きく成長を遂げていく。
本作で料理の魅力に気づいたという松本さんは、当時のインタビューにて出演を機会にイタリアンを学びたいと意欲を見せていた。作中でもスマートな手さばきで料理を披露していた松本さんは、その後『失恋ショコラティエ』(原作:水城せとなさん)でも、洗練された料理の腕を披露している。
また、2021年3月『うちのごはん』シリーズ(キッコーマン)のCMにて和食店の店主に扮して出演した際には、顔が映らないカットでも実際に料理をおこなったという。慣れた手つきでフライパンを振る様子からも、日頃から料理をしているのが一目瞭然だ。美しすぎる盛り付けにも注目が集まっていた。
■料理シーンは吹き替えだった!? 『味いちもんめ』中居正広さん
『味いちもんめ』(作:あべ善太さん、画:倉田よしみさん)は、一流の料亭で働く板前たちの日常が描かれた作品だ。主人公の伊橋悟は、“料理学校首席卒業”という自身の実力におごり、料理に対してなめた態度をとっていたが、同年代の優秀な板前の姿に圧倒され、心を入れ替えていく。
1995年にドラマ化された際には、人気アイドルとして絶頂だった中居正広さんが主演をつとめた。当時20代前半の中居さんは、良くも悪くも“尖っていた”時期だったという。撮影時には大先輩の大御所俳優を前に、ぶつかることも多かったのだとか。
なかでも、伊橋の先輩である横山を演じた今井雅之さんとは殴り合い寸前の緊迫した場面もあったそうだ。逆を返せば、スタッフが仲裁に入るほど真剣に芝居に臨んでいたのだろう。
しかし一方で、中居さんは料理シーンは代役による吹き替えだったことを2023年10月13日に放送された『中居正広の金曜日のスマイルたちへSP』で明かしている。料理が苦手で千切りができなかった中居さんの手元が映るシーンでは、代役がたてられていたそうだ。
それほどまでに、一流料亭で働く板前たちの技術は高度なのだろう。短期間で真似できるようなものではなく、何年もかけて培われる技術に関しては、ときに代役も必要なのかもしれない。