■地球の未来をかけた運命の選択肢『嵐を呼ぶ!オラと宇宙のプリンセス』
映画化20周年記念作品でもある『嵐を呼ぶ!オラと宇宙のプリンセス』は、2012年に公開された。ひまわりとプリン争奪戦から大喧嘩に発展したしんのすけが「ひまわりなんていらない!」と言ったことで、“ヒマワリ星”の使者がひまわりをプリンセスとして貰い受けにくるというストーリーだ。
しかも、ひまわりがひまわり星にいないとヒマスターという物質が足りなくなってしまい、地球もろとも滅びるという衝撃的な展開を迎える。しんのすけは、ひまわりを連れ戻して地球を犠牲にするか地球を守ってひまわりを手放すかの選択を迫られた。
しんのすけの返答は「どっちも大事!」。そして「オラの未来はオラが決めるんだゾ!」と言い切る。大人でも周囲に流されてしまうことがあるが、自分の決断や選択の大切さを5歳の子どもに気づかされる言葉だ。
今作は悪役という悪役が出てこず、テーマとなるのは家族愛だ。ひまわり星で至れり尽くせりの待遇を受け幸せそうにするひまわりを、何とも言えない表情で見守るひろしとみさえも切ないが、妹を取り戻そうと奮起するしんのすけの姿にはグッとくる。
『クレヨンしんちゃん』は元々が青年向け漫画ということもあり、漫画・アニメ・映画どの作品でも、至るところに心に響くセリフが散りばめられていた。セクシーなおねいさん好きでおちゃらけてばかりだが、いつも前向きで物事の本質をズバッと突いてくるしんのすけからは多くの学びがある。