外国人が漢字のタトゥーを入れているのをよく見かける。意味が分かる我々はもちろん、その意味が分からない人にとっても、漢字には独特のカッコよさがあるようだ。タトゥーではないが、実は『ガンダム』シリーズにも機体に漢字をペインティングしたモビルスーツが登場する。
そこで今回は、『ガンダム』シリーズに登場した「漢字入りデザイン」のモビルスーツを紹介する。痺れるそのデザインと、作中での活躍を見ていこう。
■金色の機体に“百”の文字「百式」
漢字のモビルスーツといって、まずは思いつくのは「百式」ではないだろうか。
アニメ『機動戦士Zガンダム』や『機動戦士ガンダムZZ』に登場した金色のモビルスーツだ。型式番号MSNー00100から“百式”と名付けられる。その名前には開発主任のM・ナガノ博士の「百年使えるモビルスーツ」という願いも込められており、両肩アーマーには“百”という漢字がデザインされている。ガンダムシリーズ初の「漢字入りデザイン」のモビルスーツだ。
作中最大の活躍は『機動戦士Zガンダム』最終話「宇宙(そら)を駆ける」での、グリプス2のコロニーレーザーをめぐる死闘であろう。クワトロ・バジーナ(シャア・アズナブル)が搭乗した百式は、パプテマス・シロッコのジ・Oとハマーン・カーンのキュベレイという作中屈指の強敵2人を同時に相手にすることとなる。
さすがに分が悪く右腕・右脚を失うも(これだけの損害で済んだのもすごい)、Zガンダムやメタスの参戦で両機体を退ける。その後すぐにキュベレイと再戦、最終的には敗れるものの、一度はキュベレイの無数のファンネルのビーム射撃を全回避する荒業を見せていた。
加えて、百式は劇外での活躍も素晴らしい。40周年記念で行われたNHKの『全ガンダム大投票40th』モビルスーツ部門では、数あるモビルスーツのなか、主人公機のガンダムを除けば最上位となる堂々6位を獲得している。
■朱色の機体に描かれた「バウ」
次に、「バウ」を紹介する。バウは『機動戦士ガンダムZZ』に登場したネオ・ジオン(アクシズ)の分離可変モビルスーツだ。
第15話「幻のコロニー(後)」で登場した朱色の試作機(型式番号AMXー107)には、腰の左フロントアーマーに「龍」と「飛」を縦に並べた漢字が書かれてある。これを日本語の音読みでは「バウ」と読む。このバウには、士官に成り立てのグレミー・トトが搭乗していた。
ちなみに、その後登場したグリーンやグレーの量産機には「バウ」の文字はなく、試作機だけの遊び心だったのかもしれない。
バウの最大の見せ場となったのは、第16話「アーガマの白兵戦」。ゴットン・ゴー率いるエンドラ隊のアーガマ奇襲の際に使われ、分離変形を披露。さらに、アーガマから離脱する際には、ゴットンによるやや強引な合体も見せている。
バウの変形合体は、敵機ながらヒーロー的なカッコよさがある。それもそのはず、バウは設定段階から“モノアイのZガンダム”をイメージして作られたものなのだ。さらに、朱色に「バウ」という痺れる漢字入りデザインも相まって、なかなかセクシーな機体ではないだろうかと思う。