■『天気の子』しっかり者で姉想いの凪

天気の子』は2019年に公開された新海誠監督のアニメーション映画だ。同監督の前作『君の名は。』の大ヒットにより公開前から大注目されていた作品で、登場人物の設定や1つ1つのセリフにもこだわりが感じられる。

 ヒロイン・天野陽菜の弟である凪は、大人びた行動とセリフで主人公・帆高からも“凪センパイ”と呼ばれている小学生だ。

 帆高が陽菜への誕生日プレゼントを悩んでいたときには、「はっきりしない男が一番ダメなんだよ。付き合う前は何でもはっきり言って、付き合ってからは曖昧にいくのが基本だろ」と発言。大人顔負けの鋭いセリフに帆高は尊敬の念すら抱いている。

 そんな大人顔負けの凪は、姉への感謝も忘れていない。彼は母親が死んで以来バイトばかりの姉を気遣い「きっと俺のためなんだ」「だから姉ちゃんにはもっと青春っぽいことしてほしいんだよね」と、想いを語っている。

 普通の小学生はきっと、こんなことなど言わないだろう。自分のために必死で頑張る姉に対する想いや愛情がビシビシ伝わってくるセリフだ。

 しかし、ラストシーンの凪は一味違った。警察に囲まれた帆高の目の前に現れ、「全部お前のせいじゃねえか! 姉ちゃんを返せよ!」と感情剥き出しで罵倒しながらも帆高を助けたのだ。

 姉が消えた悲しみや怒りを帆高にぶつけながらも、その姉を助けようと帆高を守るシーン。”行動とセリフが逆”で少し不思議にも感じられたが、その裏腹さがかえって印象に残り、観る者の胸を打つのだ。

 

 “きょうだい”は家族というだけでなく、時にライバルとして、尊敬する対象として、守り守られる存在としてなど、多種多様な関係性がある。今回紹介した例以外にも、観る者の心を打つ“きょうだい”の関係性は数多い。その多様な形に注目しながら作品を楽しんでみるのも面白いのではないだろうか。

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