『北斗の拳』根強いウワサ…病に冒されていなければどうだった? 「トキ最強説」を検証してみたの画像
『北斗の拳』究極版 第7巻(コアミックス)

 今年9月に連載開始から40周年を迎えた『北斗の拳』(原作:武論尊氏、作画:原哲夫氏)。主人公のケンシロウをはじめ、ラオウやカイオウなど並み居る屈強な漢たちが登場するなか、“病さえなければ実は最強なのでは?”と長年ささやかれ続けているのが、北斗四兄弟の次男・トキだ。今回は、そんな根強い「トキ最強説」について検証してみたい。

■病気が進行してなおラオウを追い詰める強さ

「北斗神拳」の歴史上もっとも華麗な技の使い手とされたトキは、ケンシロウいわく「本来ならかれが北斗神拳の伝承者になるべきはずの男だった」という。その天賦の才は、あのジャギでさえ認めるほどだった。

 トキが得意とするのは、静水のように相手の攻撃をいなして隙を突く「柔の拳」。静水が激流を制するがごとく、ラオウやケンシロウのように激しい闘気を押し出した「剛の拳」も、彼の拳の前では受け流されてしまう。

 事実、二度にわたってトキとラオウが戦った際には、いずれもトキは病に冒された身でありながらもラオウを追い詰め、その頭上に死兆星をもたらすほどだった。もし病を得ていなければラオウにも勝てていたかもしれない、というのはファンのみならずラオウ自身もはっきりと認めるところだ。

■「無想転生」を体得したラオウにも勝てるのか?

 このようにラオウにも勝るポテンシャルを持つトキだが、“それでは無想転生を体得した状態のラオウにも勝てるのか?”という点は、「トキ最強説」を検証するうえで考える価値のあるポイントだろう。

「無想転生」は深い哀しみを背負った者だけが体得できる北斗神拳究極奥義であり、無意識無想の状態で相手の攻撃を回避・反撃する拳だ。ラオウとケンシロウの最終決戦では互いにこの拳を体得していたため、あらゆる奥義が無に帰し、赤子同然の戦いとなった。

 これとよく似た、「無想陰殺」という拳がある。無意識無想ゆえ間合いを恐れなくなり、そのため隙もなくなる、というもの。この拳を繰り出したラオウ相手に、トキはその背後を取りながらも思い切り反撃を食らっている。この場面から、単純に“健康なトキと無想転生のラオウならどちらが強いか”という比較であれば、さすがのトキも分が悪いように思われる。

 しかし“もし病に冒されていなければ”という仮定の話を考えるならば、ラオウの拳を封じるという約束を果たすため、トキはたゆまず拳を磨き続けただろう。その過程で闘いの哀しみを刻み付け、無想転生にたどり着く姿は想像に難くない。

 互いに無想転生を体得していると仮定した場合、もともとラオウにとってトキの拳と相性が悪いことを考えると、やはりトキに軍配が上がるのではなかろうか。

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