■北斗宗家の血に目覚めたケンシロウ相手では?

 無想転生を得たトキがラオウより強いと仮定して、それではラオウに勝ったケンシロウとの比較はどうなるだろうか。

 ラオウとの戦いのあと、ケンシロウはカイオウ相手に再び無想転生を使用するものの、あえなく敗れている。ラオウとトキの実兄であるカイオウは、北斗神拳の創始者・シュケンの血族である「北斗宗家」への恨みを募らせ、愛を捨てて悪の道に生きることを決意した。

 そして「北斗琉拳」の伝承者となり「修羅の国」を支配していたが、最終的には北斗宗家の血に目覚めて秘拳を得たケンシロウに敗れることとなる。つまり、この時点では北斗宗家の秘拳を得たケンシロウが最強ということになるだろう。

 血脈はジャンプ作品の王道だ。それならトキが病気であろうとなかろうと主人公のケンシロウには敵わないのか……と思いきや、のちにカイオウ・ラオウ・トキも北斗宗家の血を引いていることが分かる。

 愛を力の源とする北斗神拳において、慈愛に満ちセンスにも恵まれたトキならば、ケンシロウと同じく秘拳を獲得できそうだ。あとはラオウのときと同様、どちらも秘拳を得た状態ならば、剛の拳のケンシロウより柔の拳のトキが優利ではないだろうか。

 

 もし病に冒されていなければ、トキはいずれ無想転生を得て、北斗宗家の秘拳も得た可能性がある。そう考えると、「トキ最強説」はあり得ない話ではないと思われる。

 そもそも、もしトキが病気でなく、なお且つ北斗神拳伝承者に選ばれていれば、ジャギが変な気を起こしてシンにちょっかいを出すこともなく、ケンシロウは拳を捨ててユリアと静かに暮らしていたかもしれない。それでもトキとラオウとの戦いは避けられなかっただろうし、ケンシロウがラオウに託されたように、トキもまたカイオウと戦うことになっただろう。

 しかし、愛を捨てきれなかったものの最後まで否定したがったラオウや、愛を完全に捨てて悪の道に突っ切ったカイオウでは、ケンシロウ同様“愛の人”であるトキには及ばないように思う。なぜなら、アニメのオープニングテーマや40周年特設サイトからも分かるとおり、『北斗の拳』のテーマは“愛をとりもどせ‼”であり、北斗神拳は“愛の拳”だからだ。

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