ファミコンのディスクシステムで発売された『中山美穂のトキメキハイスクール』や、スーパーファミコンの『ゆうゆのクイズでGO!GO!』のように、当時人気の「アイドル」を題材にしたゲームは昔から数多く発売されている。次世代機のパワーによってより美しく描画されファンたちを虜にした、“アイドル”たちとのコラボ作品を見ていこう。
■憧れのアイドルとのバーチャルデートが楽しめる…?『恋のサマーファンタジー in 宮崎シーガイア』
恋愛シミュレーションゲームといえば、コナミ(現:コナミデジタルエンタテインメント)から発売された『ときめきメモリアル』が記録的なヒット作となったのだが、これを受けて同ジャンルのタイトルが次々に各社から発表された。
1997年にバンダイビジュアルより発売されたセガサターン用ソフト『恋のサマーファンタジー in 宮崎シーガイア』も、そんな流行に乗ったタイトルの一つだ。
当時、恋愛シミュレーションゲームではアニメ調のキャラクターたちが登場するのがお決まりとなっていたなかで、本作は実在するアイドル・奥菜恵さんをイメージキャラクターとして起用している。
本作では奥菜さんの姿を実写でゲーム内に取り込み、音声も本人の声をそのまま使用。タイトルパッケージにも奥菜さんの素顔が大きく載せられており、さらに、オープニング曲、エンディング曲も本人が歌っているのだ。
一般的な恋愛シミュレーションゲームというよりも、どちらかというと奥菜さんとの恋愛をバーチャルで行うためのファン向けコンテンツという印象が強い一作である。
実在するリゾート施設・シーガイアを舞台に、プレイヤーは偶然出会った人気アイドルと4日間のデートをしながら、そのさなかに登場する“選択肢”によって彼女の好感度をあげていかなくてはならない。エンディングにはグッドとバッドの二種類が用意されており、プレイヤーの選択によって4日目を迎えた段階で、どちらかが決定するのだ。
作中では奥菜さんの水着姿の画像や動画もふんだんに用意されており、ファンにとってたまらない一品と言えるだろう。32ビット機のパワーをふんだんに使用した、ファン垂涎の一作である。
■推理ゲームとしても恋愛ゲームとしても完成度高し!!…『ユーラシアエクスプレス殺人事件』
実写画像を活用した恋愛シミュレーションゲームは、以降も次世代機をベースにさまざまなメーカーから登場している。
1998年にエニックス(現:スクウェア・エニックス)から発売されたプレイステーション用ソフト『ユーラシアエクスプレス殺人事件』も、数多くのアイドルが実写で登場する一作だ。
プレイヤーは中国・上海を出発するユーラシアエクスプレスのなかで“殺人事件”に遭遇し、列車に搭乗している人物に聞き込みを行いながら、その真相に迫っていく。
ゲーム内では列車が駅に着くまでの“2時間”という制限時間が設けられており、それまでに真犯人を突き止め、事件を解決する必要があるのだ。
推理ゲームとしての出来はもちろん、本作の見どころはなんと言っても登場しているアイドルたちの実写の姿だろう。なんと本作では、デビュー当時の深田恭子さんや加藤あいさん、新山千春さんといったホリプロに所属するアイドルが数多く配役されている。
また、“好感度”が隠しパラメータとして設定されており、適切な選択肢を選ぶことで登場人物との関係が進展していく。エンディング時には、好感度が最大の生徒との“キスシーン”を拝むことができ、推理ゲームでありながら恋愛ゲームとしての側面も持ち合わせているのだ。
もともとは「CG作品は制作費が高いため、実写を使ってしまおう」という思惑から実写を起用したらしいのだが、制作陣が本気を出した結果、推理と恋愛という二つのジャンルを融合させた骨太な一作となったのである。
推理ゲームとしての歯ごたえはもちろんのこと、登場するアイドルたちの初々しい姿にも心和まされる、実に完成度の高い一作だ。