■涙無くして見られない、仲間の死の後に流れる特殊エンディング
少女漫画を原作としたアニメでは、『ふしぎ遊戯』にもそうした特殊エンディングが採用されたエピソードがあった。渡瀬悠宇氏の同名漫画を原作に1995年から放送されたアニメでは、少女漫画が原作であるにも関わらずヘビーな展開が続き、主要キャラクターが志半ばにして次々と命を落としてしまう。
同作は四神天地書という本の中に主人公の女子中学生・夕城美朱が入り込んでしまい、朱雀の巫女として体にアザ(字)のある仲間たちを探す旅に出る冒険物語である。
しかし仲間を集め朱雀を呼び出す過程で、一人、また一人と命を落とすことになる。一番初めに犠牲になったのが、普段は女性の格好をしている頼れる姉御肌の柳宿(ぬりこ)だった。
柳宿一人になったところを背後から敵に襲われ致命傷を受けるも、自身の力が残っているうちにと最後の力で大岩を退けて冷たい雪山の中で力尽きてしまう。
第33話「柳宿永遠の別離」では柳宿が命を落とす前に最後に美朱に温かい言葉を残し、仲間たちに看取られる。初めは仲間の死を受け入れられなかった美朱がその事実を受け入れ、雪山の中に柳宿の埋葬をするのがこの回のエンディングだった。
第33話に使用された特殊エンディング曲は柳宿の声優を務めた坂本千夏さんによるキャラクターソング「風の旋律」。柳宿の生きざまを思わせる歌詞で、歌をバックに仲間たちが柳宿を失った悲しみと、それでも前に進もうとする様子が映し出される。
曲の終わりに合わせて目を閉じてほほ笑む柳宿の表情とともに、「柳宿 坂本千夏」と最後にクレジットが出される。キャラクターへの敬意を感じるエンディングだった。
重要キャラクターが亡くなる回は特殊エンディングが使用されることが多い。2004年から放送されていたアニメ『蒼穹のファフナー』もそうだ。
こちらのエンディングテーマは通常回ではangelaの「Separation」が流れるが、6話、9話、21話から24話までの6話だけ、「Separation」の別アレンジ曲が流れる。共通するのは、誰かがいなくなったエピソードということだ。特殊エンディングでは歌詞の2番が使用されるが、これは1番が「遺された者」の視点から歌われており、2番は「亡くなった者」の視点で歌われているためだ。
ファンの間では「追悼エンディング」との呼ばれるこの曲だが、こちらの演出もかなり粋である。
泣ける特殊エンディングはこの他にも多くの作品で見られる。誰の心にも、忘れられない特殊エンディングがあるのでは?