令和に放送したら人気確実? 黄金期『週刊少年ジャンプ』の実はアニメ化されていない名作たちの画像
ゼノンコミックスDX『花の慶次-雲のかなたに-新装版』第1巻(コアミックス)

 2022年にアニメ化された『チェンソーマン』に、現在「渋谷事変」を放送中の『呪術廻戦』など、各クールで話題を席巻する『週刊少年ジャンプ』の漫画を原作としたアニメ。

 また現在連載されている作品だけではなく、2022年12月の公開からロングランヒットを記録した『THE FIRST SLAM DUNK』や2024年秋に展開されるという『ドラゴンボールDAIMA』、新アニメ化が発表された『キン肉マン』に『北斗の拳』など、“黄金期”と呼ばれる世代のジャンプ作品のアニメ化も話題を集め続けている。

 ジャンプ漫画は人気が出ることですぐにアニメ化に繋がるケースが多いが、かずはじめ氏の『MIND ASSASSIN』に浅美裕子氏の『WILD HALF』、高橋ゆたか氏の『ボンボン坂高校演劇部』にコミックス全6巻ながら読者に強烈なインパクトを与えたあんど慶周氏による『究極!!変態仮面』など、惜しくもアニメ化されていない名作も少なからずある。

 リバイバルが続く令和の今、もしそれら作品が最新技術によってアニメ化されたらどうなるのだろうか。今回は、「今放送されたら人気が出そう」と思われる、“アニメ化されていない”ジャンプ黄金期の名作漫画を振り返っていきたい。

■パチンコ・パチスロで有名でも…どんな話?

 まずは原作・隆慶一郎氏、作画・原哲夫氏による漫画『花の慶次-雲のかなたに-』から。パチンコやスロットがヒットしたことで高い知名度を誇るが、連載中から現在まで未だアニメ化がされていない。

 同作は原氏の代表作のひとつで、『北斗の拳』の終了後にSF漫画『CYBERブルー』を挟み、1990年から連載開始。いったいどのような物語が描かれるか注目だったところ、意外にも歴史上の人物である前田慶次を扱った時代劇となっていたことで、多くの読者が度肝を抜かれたはず。日本史に疎い筆者は当時、「誰?」と思ってしまったが、連載を通じて前田慶次という人物にどんどん引き込まれていった。

 慶次はとにかく破天荒で、そのくせ義気を大切にして、人の本質を見抜く。しかも戦場では最前線で戦う覚悟を持ち、持ち前の巨漢と腕力を活かして次々と敵をなぎ倒していく……。

 そんな慶次に、作中のキャラだけでなく読者も惹かれていったのではないだろうか。コミックスも全18巻が刊行され、しっかりと完結。慶次のブレることのない真っ直ぐな精神、それについていく部下、勝てないと思えるような戦でも生き残る強さ、様々な要素が集約されている。現在、歴史漫画を原作としたアニメといえば2024年1月よりNHKで第5シーズンが放送予定の『キングダム』が人気だが、『花の慶次』の物語、そして原氏の描く主人公・前田慶次の魅力は令和の人にも響くはず。

 しかし、ある程度脚色している部分もあるため、あくまでも漫画という体で楽しんでほしい。完全に史実通りに描いてしまうと、それはそれで味気ない……。いろんな場面にツッコミどころがあるのも『花の慶次』の魅力のひとつでもある。

■90年代ジャンプを代表するホラー漫画

 続いては光原伸氏によるホラー漫画『アウターゾーン』。1991年から連載が始まった同作は全10話で一旦終了したものの、読者の好評を受けて第2部の連載が開始された。この時期のジャンプ作品には珍しい数話完結型の漫画となっており、アニメ化された際に非常に視聴しやすそうである。

 内容は同時期に人気だった『笑ゥせぇるすまん』やテレビドラマ『世にも奇妙な物語』に近い形となっており、いわゆる主人公に不可思議な出来事が起こるストーリー。それがどう展開されるのか、ホラーな要素もある物語に引き込まれていく。また全編にわたって謎の美女・ミザリィが案内役を務めていたことも思い出深いというファンは多いだろう。

 このようにジャンプにはあまりない形式の漫画ではあったが、人間ドラマをメインに嫉妬や欲望を描き、第1話「ママと悪魔」のテーマが「宗教2世」だったりと令和の今でも通じる普遍的なエピソードばかり。現代風にアレンジを加えてのアニメ化は人気を集めるのではないだろうか。

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