■ギャグありシリアスありのプロレス漫画

 最後は、にわのまこと氏による『THE MOMOTAROH』を紹介したい。1987年から1989年にかけて連載されたこの作品は、『キン肉マン』に次ぐジャンプ王道の流れで展開されるプロレス漫画。後に『超機動暴発蹴球野郎 リベロの武田』や『陣内流柔術武闘伝 真島クンすっとばす!!』も人気となるが、にわの氏の連載デビュー作である本作も当時はかなりの人気があった。

 刊行されているコミックスは全10巻と少ないが、バトルありギャグありで、そこに集約されている内容やキャラはかなり濃いものになっている。

「桃太郎の子孫」を自称する主人公のモモタロウを始めとして、牛馬鹿丸にキンタロウに“一寸法師”の子孫である七尺兄弟やカグヤ・ザ・ムーンバトラーなどなど、昔話をモチーフとしたキャラが多数登場し、バトル展開はかなりワクワクさせられた。戦いの描写も迫力があり、デビュー作ながら画力も高い点も魅力的だった。

 特に凄いのはギャグのインパクトやテンポで、30年以上経った今もコマをありありと思い出せるほど。もんがーといった特殊キャラやそれぞれのキャラがボケたりツッコミをいれる姿は、まるでお笑いの教科書のようにも思えた。

 今アニメ化をしたら色んな意味で衝撃的な作品になるかもしれない。個人的には、ジェットモンガロンによる「モンガロン・ひき逃げアタック」が見てみたい……。

 以上、今回は3つの作品を振り返ったが、この他には劇場版のみが制作された『ろくでなしBLUES』やOVAのみとなっている『電影少女』なども、再アニメ化に期待したい作品だろう。ジャンプ黄金期には数多くの人気作品が連載されていたが、現在よりもアニメの放送本数はずっと少なかった。その頃から30年近くが経った今、アニメ化によって過去の名作に光が当たることもあるのではないだろうか。

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