■恋愛要素が大人向けだった!?イケメンたちを魅了するナージャ

『明日のナージャ』は“母親探しの旅”を描いた作品だが、恋愛要素が強いことでも有名だ。金髪碧眼のイケメン、フランシスとキースとの恋愛にドキドキする展開が待っている。2人のイケメンの間で揺れ動くナージャ。作中にはキスシーンが登場するなど、なかなか大人な恋愛要素も描かれているのだ。

 正体を隠し、“怪盗「黒バラ」”として貧しい人たちを助けていたキースと、貴族としてキラキラした世界に身を置き、王子様のような存在のフランシス。ナージャがどちらを選ぶのか、最後までドキドキしたのは筆者だけではないはずだ。大人になって見ると彼らの三角関係は心くすぐる展開なのだが、子どものころ見ていたことを思い返すと、少し大人っぽかったのかも?とも感じた。

■楽曲が素晴らしく物語も作り込まれている!ナージャの魅力とは

 と、ここまで『明日のナージャ』が不人気の理由を考察してきたが、一方で魅力がたくさんあるのも事実だ。今でも根強いファンが多い本作。ファンからは、「物語が奥深い」「OP・EDが素晴らしい」と熱いコメントも多く寄せられている。

『明日のナージャ』といえば、主題歌も人気だ。OP曲『ナージャ!!』を歌っているのは、2005年にこの世を去った本田美奈子.さん。彼女の透き通るような歌声とともに、イケメンたちと次々手を取りあい踊っているナージャの姿は、少女たちが憧れるレディーの姿そのものだった。

 ED曲である『けせら・せら』もまた、デフォルメされてかわいらしい姿のナージャがいろいろな衣装を着ながら登場し、テンポのいい歌詞もおもしろい。今でもときどき口ずさむほど、筆者もED曲には思い入れがある。

 そして、なによりも子ども向けとしてはヘビーすぎた物語だったが、あらためて考えるとよく作り込まれた重厚なストーリーは見応えがあった。ピュアで一生懸命なナージャが自分なりの幸せをつかんでいく姿には勇気をもらえたし、見終わったあとホッと心があたたかくなるような作品だと思う。

 

 放送当時は不人気だった『明日のナージャ』。しかし時を越えて今でもファンから愛される本作は、幼い子どもたちにはあまりウケなかったものの、ターゲット層が違えばヒットしていたのかもしれない。

 今回振り返ってみて、あらためて『明日のナージャ』の魅力に触れることができたような気がする筆者だった。

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